不動産オーナーは賃貸住宅管理業務を管理業者に委託している場合、管理業者が業務を的確に行ってくれているのかどうか、分かりにくいところです。

そこで、賃貸住宅管理業の専門団体・公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(通称:日管協)が作成した賃貸管理業務のチェックシートを活用すれば、業務のレベルが判断できることでしょう〈チェックシートの著作権は日管協に帰属します〉。

※管理委託を前提とし、主な業務項目をまとめていますが、地域特性や商習慣によって異なる場合があります。 ※賃貸住宅管理業法におけるサブリースの規制部分は含まれません。

組織体制構築

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
賃貸住宅管理業者登録制度(国土交通省)に登録している法3条
登録事項(商号、住所、役員、営業所・事務所の名称・所在地等)に変更があったときは、30日以内に国土交通大臣に届け出ている法7条
営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げている法19条
法第○条:賃貸住宅管理業法で定められている業務項目

管理受託業

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
管理移管による管理受託時、居住中の賃借人に対し、管理業者変更通知を発行している標準
営業所又は事務所ごとに、賃貸住宅管理業務に関する帳簿(取引台帳)を備え付け、委託者(賃貸人)ごとに必要事項を記載し、保存している法18条
管理受託契約終了時、新管理会社等と連携して、管理会社および家賃振込先の変更等について案内し、また、必要に応じて関連業者に周知するよう努めている標準
※標準:日管協が定める標準的な業務項目

募集関連業

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
市場特性や消費者ニーズの動向を踏まえた空室対策(設備入れ替え、リノベーション等)を提案している標準
⾧期空室物件の巡回・管理(換気・封水確認等)や条件見直し等を行っている標準
反響数等を記録し、募集状況について、定期に賃貸人へ報告している推奨
※推奨:日管協が定める推奨される業務項目

入居前業

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
本人確認・勤務先在籍確認の為、免許証・パスポート・社員証等を確認している標準
家賃債務保証会社と提携し、必要に応じて利用を提案している標準
賃借人に対し、火災保険・家財保険等への加入を必ず提案し、加入有無を確認している標準
入居直後のトラブル防止のため、入居前や入居時にチェック表や写真等を用いて、不具合・傷等の有無を確認している標準

賃料等徴収業

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
支払期日までに支払いが無い場合、速やかに賃借人及び連帯保証人へ支払いを促し、必要に応じて家賃債務保証会社と協力し、未納にならないよう努めている標準
家賃債務保証会社の利用の有無に関わらず、滞納状況について、定期に賃貸人へ報告をしている推奨
管理受託契約に基づいて、受領する家賃・敷金等を自己の財産と分別して、管理している法16条

運営調整業

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
定期的に管理業務に関する報告書等を発行し、年に1回以上、賃貸人へ管理業務内容も報告している法20条
賃貸人・賃借人等の個人情報に関する情報は、情報漏洩しないよう社内ルールを定めて管理し、秘密保持に努めている法21条
賃借人からの指摘・相談は事実確認・原因解明し、委託された管理業務に応じて通知・指導・改善等の対処をしている標準
物件で自殺・病死があった場合、告知義務や家賃減収分の損害賠償請求について、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」や弁護士の見解を確認した上で、賃貸人に助言している標準
災害時に対応できるマニュアル(ルール)の用意等の備えをしている推奨

更新・再契約業

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
必要に応じて、賃借人の滞納・契約違反の有無や連帯保証人の有無等を考慮して、更新手続を行うかどうかを検討している標準
賃貸借契約に付随する各種保険、付帯サービス、家賃債務保証等が未手続きにならないよう期日管理を行っている標準
賃借人及び連帯保証人の状況確認(入居人数の変化、第三者への転貸や用途変更の有無、賃借人及び連帯保証人等の勤務先や連絡先等)を行っている推奨

解約業

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
賃借人からの解約申し出を受けた場合、解約日や物件引渡日等、日程調整を行い、賃貸人へ報告している標準
原状回復のガイドラインや契約書の特約事項に基づき、賃貸人・賃借人の負担部分を説明している標準
原状回復工事の見積書を元に解約精算書を作成・交付し、賃貸人・賃借人に説明している標準
退去後のトラブル防止のため、入居前や入居時のチェック表や写真等を用いて、室内や共有部の不具合・傷等の有無を確認している標準
賃借人の支払うべき精算金が敷金を超える場合、支払い期日を定めたうえで請求し、未収にならないよう管理している標準

その他 必要と思われる項目

賃貸住宅管理業務の内容区分チェック
賃貸人に対して、相続対策の提案を行っている推奨
賃借人の夜逃げや賃借人死亡後の相続人の不存在の際に、残置物を適切に処分できるよう対策を行っている推奨
予算管理等を行うことで、収入の増加や経費の削減に努め、物件の収益向上を図っている推奨

引用:【日管協標準・推奨】賃貸住宅管理業務チェックシート https://jpm.jp/