賃貸住宅はオーナー様(貸主)が自分の資産を守るために加入する建物火災保険と入居者(借主)が自分の家財の補償と原状回復するための賠償保険の二通りが存在します。保険加入により安定した賃貸経営、安心できる賃貸ライフを実現させることが出来ます。
賃貸住宅の火災保険
賃貸住宅の場合、火災保険は重要なリスク対策です。以下に、火災保険に加入すべき理由を詳しく説明します。
- リスクへの備え:火災保険は、万が一の災害リスクに備えるために加入します。ただし、火事だけでなく、自然災害や人為的な災害も補償対象です。日本は災害大国であり、火災保険はアパート経営において必須です。
- 自然災害と人為的な災害の補償:火災保険は火災、落雷、風水害などの自然災害だけでなく、破壊、事故、盗難などの人為的な災害もカバーします。さらに、日常生活で起きる損害(水漏れや飛来物による損害)も対象です。
- 地震保険の重要性:火災保険には地震保険を付帯できることもあります。地震保険は火災保険の特約となるため、単独での加入はできません。大規模災害を想定して特約についてもチェックしましょう。
- 保険料の支払期間と増加傾向:保険料は1年契約と最長5年契約があり、5年契約の方が支払総額を安く抑えられます。近年では自然災害のリスクが高まっており、火災保険料は年々増加しています。
- 賃貸経営の安定化:火災保険は賃貸物件のオーナーが自らリスクヘッジする保険です。加入していれば、物件が損害を受けても家賃収入や再建築費用が補償され、賃貸経営を安定化できます。保険料は事業に伴う経費として考慮できます。
- 地震保険の付帯:建物に地震保険を付帯できることも重要です。日本の自然災害リスクを考慮し、火災保険への加入は常識と言えます。
なお、保険料支払期間は1年契約と最長5年契約があり、5年契約のほうが支払総額を安く抑えられます。近年では、自然災害のリスクが高まっていることから、火災保険料が年々増加傾向にあります。2024年度も10月1日付で各社で保険料改定(値上げ)が決まっております。
火災保険はオーナー様ご自身が所有する賃貸物件を、自らリスクヘッジ1する保険です。加入していれば、災害によって物件が損害を受けても再建築費用などが補償されるため、賃貸経営を安定化する事が出来ます。家賃収入特約を付帯していれば収入も確保できます。なお保険料は事業に伴う経費の対象です。(自宅が併用されている場合は自宅分は経費になりません。)このように火災保険は賃貸経営において欠かせない要素であり、適切な保険を選ぶことでリスクを最小限に抑えることができます。
- リスクヘッジとは、将来のリスクを予測して、その被害を避けたり、最小限に抑えるための対策を講じることです。例えば、不動産オーナーであれば、賃借人の滞納リスクに備えて保証会社を利用したり、自然災害に対する保険に加入することがリスクヘッジにあたります。このように、予測される問題に対する準備をすることで、大きな損害を防ぐことができます。 ↩︎
大家さんが知っておくべき火災保険の必要性と補償内容
大家さんが火災保険に加入する理由と、具体的な補償内容について詳しく説明します。
建物は大家さんの資産であり、火災保険に加入することで建物の損害をカバーします。これは賃貸物件だけでなく、ご自宅を所有されている方も同様です。日本の法律では隣の建物で起きた火事の「貰い火」によって自分の建物が被害を受けた場合でも、「失火責任法」という法律により、火事を起こした人に損害賠償請求をすることはできません。そのため、自分の建物は自分で火災保険に入って守る必要があります。
「火災保険」といっても、火災だけでなく水害や水漏れなどの被害にも補償されることがほとんどです。実際の実務では、火災よりも水漏れ事故の方が多く発生しています。
- 火災:建物や家財が火災によって損傷を受けた場合の補償です。
- 落雷:落雷による被害を補償します。
- 破裂・爆発:破裂や爆発による損害をカバーします。
- 風災・雹災・雪災:風災(台風や竜巻などによる暴風)、雹災(ひょうによる被害)、雪災(大雪や吹雪による被害)に対する補償もあります。
- 水濡れ:建物に備わっている排水設備などの水漏れを補償します。水道管の破裂や水濡れの被害が発生した場合に適用されます。
- 水災:大雨や台風による洪水、土砂崩れなどによる被害を補償します。床下浸水や床上浸水も含まれます。
- 盗難:盗難による被害や窓ガラスの割れなどを補償します。
- 騒擾・集団行動等に伴う暴力行為:集団行動などによる暴力行為や破壊行為に損害を受けた場合に補償してくれます。
- 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突:飛来物や落下物、衝突などの事故による損害を補償します。
・火災保険とは、これらの被害から盗難や物体の落下まで起こり得るさまざまな被害をカバーしています。必要な補償だけを選んでカスタマイズすることができるので、適切な保険を選ぶのが得策です。
・地震保険とは、地震・噴火・津波によって発生した住まいや家財の損害を補償する保険です。地震保険は火災保険とセットで加入することができますが、地震保険だけに加入することはできません。火災保険では補償されない地震等による損害に備えるために、上記火災保険に地震保険を付帯しますが地震保険が不要な場合はオプションとして外すことができます。
・施設賠償保険とは、「施設の安全性の維持・管理の不備や構造上の欠陥」「施設の用法に伴う仕事の遂行」が原因で他人にケガをさせたり、物を壊したりした時に、被保険者(この場合は大家さん)が法律上の損害賠償責任を負担された場合に被る損害を補償する保険です。
さらにオーナー向けの特約として以下のものがあります。
オーナー向けの特約
- 家賃収入特約は、火災や自然災害などの被害によって一時的に家賃収入が途絶えた場合に、契約時に決めた期間を限度に家賃収入を補償する特約です。
- アパートを建てる際に融資を受けている方にとくにおすすめです。アパートの一室で火災が発生し、上下階や隣室などの住人にも被害が及んだ場合、家賃収入の大幅な減少は避けられません。
- ローンを組んでいれば、返済が苦しくなったり、アパート経営そのものが成り立たなくなったりすることも考えられます。自然災害など予期せぬ事態による家賃収入の減少に備えて、家賃収入特約を付帯しておくと経営が安心です。
- 家主費用特約は、孤独死や自殺、犯罪などの死亡事故に起因する家賃の減収を補償する特約です。
- 前の入居者の死亡を理由に家賃の値下げを余儀なくされた場合や、上下階などに空室が発生した場合に経済的損失が補償されます。また、室内清掃や遺品整理など、部屋の原状回復にかかる費用も補償対象です。
- 一人暮らしの入居者が孤独死した場合、遺品整理や清掃などはオーナー負担で対処しなければなりません。高齢化が進む日本において、単身者用アパートを経営している場合はこの家主費用特約を付帯することで賃貸住宅経営を安定させることができます。
火災保険への加入はアパートローンを利用する条件となる
アパートの取得にあたり、上記火災保険への加入はアパートローンを利用する融資条件となります。金融機関としては火災などで家賃収入が途絶えて返済が滞るリスクを回避したいため、家賃減収を補償する火災保険への加入を求めるケースがほとんどです。金融機関から融資を受けるためにも、火災保険への加入は必須と捉えておくべきです。
上記保険は通常住宅販売メーカー、融資を受けている金融機関等かその紹介先代理店、あるいは損害保険プロ代理店から購入できます。
なお、少額短期保険では建物の火災保険・地震保険は販売が出来ません。
賃貸入居者保険の補償内容 賃貸入居者保険の補償内容借主さんが入る(入居者様が契約すべき)保険(家財保険)
賃貸入居者保険について詳しく説明します。
- 入居者が保有する家財を守るための保険です。火災のほか、台風や大雨などの自然災害、盗難などによって被害を受けた際の損害を補償します。
- 賃貸住宅にお住まいの場合でも加入しておくと、万一の際に備えることができます。
- 大家さんに対して法的な賠償責任を負った場合、その費用を補償する特約です。貸主であるオーナー様が一番こだわる保険です。
- 借主さんが火事などを起こした場合、室内の損害を元に戻すための費用を補償します。この特約が付いていないと、借主さんが自分で払うことになりかねない高額な修理費用を大家さんが負担することになります。
- 大家さんとの賃貸契約に基づいて、借家人が修理した費用を補償する特約です。法的な損害賠償責任は負わないが、賃貸借契約に基づいて自己の費用で現実に修理を行った場合が補償の対象です。
- 火災や落雷、爆発などの他、風災、物体の落下・飛来、水濡れ、デモなどによる破壊行為により、自己の費用で修理を行った場合の費用を補償します。
- 下の階や隣の住人に損害を与えた場合に補償するものです。例えば、洗濯機の水漏れで下の階に漏水の被害を与えてしまうケースです。
- 自動車保険や損害保険の特約として加入することが多く、既に加入している可能性もあるため、契約前に重複しないか確認する必要があります。
- 地震や津波、地震が原因の火災などで家財の損害が出た場合、状況に応じた保険金が出ます。オプションで外すことも可能ですが、少額短期保険会社の保険には付帯できません。
これらの補償は、入居者や大家さんが安心して賃貸住宅を利用できるように役立つ保険商品です。
この保険の販売は通常は入居者が賃貸借契約日に賃貸不動産管理会社、仲介会社のカウンターか、入居者が独自に選定したネット保険会社より購入をします。
なお物件によってはオーナー若しくは不動産管理会社指定の保険商品に加入する事が入居の条件としている事もあります。※この保険は通常「リビングXXXX保険」等のペットネームで呼ばれております。なおペットネームは各社商標を取ってあります。
個人賠償特約事故例
- お店で、代金を支払う前に商品を落とし、壊してしまった。
- 飼い犬を散歩中、飼い犬が他人をかんでケガをさせてしまった。
- 野球のバットを振っていたら、そばにいた人にケガをさせてしまった。
- 誤ってベランダから鉢植えを落とし、駐車中の他人の車にキズをつけてしまった。
- 自転車に乗っていて、歩行者をはねてしまった。
このような場合の賠償金に関し補償いたします。
管理会社が保険契約者となる総括契約(入居者家財保険)
賃貸物件において、管理会社が入居者家財保険の便宜的契約者となる「総括契約」について説明します。
- 管理会社が入居者家財保険の契約を便宜的に行うことを指します。
- 具体的には、管理物件の賃貸借契約の特約条項に借家人賠償特約付帯入居者保険に加入することをうたい、管理物件における戸室ごとの無保険状態を排除するための保険です。
- 保険料は月払いで収納されます。月家賃の中から管理費や共益費と一緒に引き落とされます。
- 退去の際は家賃収納と同時に保険料の領収も終了します。
- 部屋を借り続けている限り、家賃と一緒に保険料が引き落とされます。
- 契約者である管理会社は入居者リストに基づき入居分の保険料を保険会社に納めます。
- 万一の家賃滞納を想定し、翌月の併徴までの間の補償を途切れなく担保するために契約時に管理会社が予納保険料を保険会社に納めます。
- この方式により、実質的に保険未継続による無保険状態は解消されます。
- オーナー様、管理会社、被保険者(入居者)共に付保漏れのない安心した賃貸ライフが実現できます。
- 当該契約方式は認可上の問題で現在、限られた保険会社しか取り扱えません。事前に保険会社に確認をすることが必要です。
- 総括契約の保険契約者になれるのは、集金管理業務を委託されている賃貸管理会社かサブリース会社に限られます。仲介専門の不動産会社は商品認可上、契約者にはなれませんので注意が必要です。
この保険の販売・案内は通常保険代理店ではなく保険会社が直に行います。
契約にあたっては取り扱い保険会社に直接お問い合わせください。
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