死後事務委任契約について

賃貸住宅に係る死後事務委任契約は、入居者が自分の死亡時における賃貸借契約の解除や残置物の処理などを第三者に委任する契約です。

この契約を締結することで、入居者は自分の遺志を実現し、家主は空室期間や残置物処理費用などの負担を軽減することができます。

しかし、この契約にはメリットとデメリットがあります。また、この契約以外にも、入居者は自分の死亡時に賃貸借契約を解除する方法があります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

死後事務委任契約のメリットとデメリット

1

入居者と受任者はモデル契約条項の内容を十分に理解したうえで同意して署名する。

2

入居者は「廃棄しない残置物」(相続人等に渡す家財等)を指定し、その送付先を明らかにする。

3

入居者は死後事務委任契約を締結したことや受任者の氏名・名称や連絡先等を家主に通知する。

4

家主は死後事務委任契約の存在や内容を確認したうえで賃貸借契約を締結する。

  • 入居者と受任者はモデル契約条項の内容を十分に理解したうえで同意して署名する。
  • 入居者は「廃棄しない残置物」(相続人等に渡す家財等)を指定し、その送付先を明らかにする。
  • 入居者は死後事務委任契約を締結したことや受任者の氏名・名称や連絡先等を家主に通知する。
  • 家主は死後事務委任契約の存在や内容を確認したうえで賃貸借契約を締結する。

死後事務委任契約以外にも、入居者が自分の死亡時に賃貸借契約を解除する方法があります。以下に、それぞれの方法について簡単に説明します。

  • 入居者が自分の死亡時に賃貸借契約を解除する意思表示を家主に対してあらかじめ行う方法がある。
    これは民法上の遺言の一種であり、公正証書遺言や秘密証書遺言等の形式で行う必要がある。
    この方法のメリットは、入居者の死亡時に賃貸借契約が自動的に解除されることである。
    デメリットは、遺言の作成に費用や手間がかかることや、遺言が無効になる可能性があることである。
  • 入居者が自分の死亡時に賃貸借契約を解除する条件付き解除条項を賃貸借契約に盛り込む方法がある。
    これは民法上の条件付き債権の一種であり、入居者の死亡時に自動的に賃貸借契約が解除されるようにすることができる。
    この方法のメリットは、遺言と同様に入居者の死亡時に賃貸借契約が自動的に解除されることである。
    デメリットは、家主が条件付き解除条項に同意しない可能性があることや、条件付き解除条項が無効になる可能性があることである。
  • 入居者が自分の死亡時に残置物を処分するための遺贈や遺産分割協議書等を作成する方法がある。
    これは民法上の相続の一部であり、入居者が自分の相続人や第三者に対して残置物の取得や処分を指示することができる。
    この方法のメリットは、入居者が自分の意思に沿って残置物の処分を決めることができることである。
    デメリットは、遺贈や遺産分割協議書の作成に費用や手間がかかることや、遺贈や遺産分割協議書が無効になる可能性があることである。

第三者が受任者になるメリットとは?

質問1

入居者が死亡すると、賃借権と物件内に残された家財(残置物)の所有権は、その相続人に承継されるため相続人の有無や所在が分からない場合、賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になることがあります。

そこで、入居者の死亡時に残置物等を円滑に処理することができるように、賃貸借契約の締結前に入居者と受任者との間で、①賃貸借契約の解除と②残置物の処理に関する死後事務委任契約を締結し、家主と入居者の間の賃貸借契約に①②に関連する条項を盛り込むことが有効な手段となるようです。

受任者は家主、賃貸住宅管理会社、サブリース会社などが行うと思いますが、そのメリットとデメリットを教えてください。

受任者は賠償責任を負う恐れも

回答

第一に受任者は家主ではなく、入居者の推定相続人や居住支援法人、管理会社等の第三者であることが望ましいです。

家主は入居者と利益相反の関係に当たるため、受任者となることができません。

受任者が第三者である場合のメリットは、以下の通りです。

  • 入居者の死亡時に賃貸借契約を迅速に解除し、残置物を適切に処分することができます。これにより、家主は空室期間や残置物処理費用を最小限に抑えることができます。
  • 入居者は自分の意思に沿って「廃棄しない残置物」(相続人等に渡す家財等)を指定し、その送付先を明らかにすることができます。これにより、入居者は自分の遺志を尊重されることができます。
  • 受任者は入居者から委任された事務を遂行する義務を負います。これにより、受任者は入居者の利益を守ることができます。

一方で、受任者が第三者である場合のデメリットは、以下の通りです。

  • 入居者は受任者に対して一定の報酬や経費を支払う必要があります。
  • 受任者は入居者から委任された事務以外の行為はできません。例えば相続人や債権者等と交渉したり、裁判所へ申立てをすることはできません。
  • 受任者は入居者から委任された事務を遂行する際に一定の注意義務や善管注意義務を負います。これに違反した場合、受任者は入居者や相続人等に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

入居者と受任者は契約内容の理解が必須

質問2

死後事務委任契約を締結することは本当に有効な委任契約になるのでしょうか。

回答

これは民法上の委任契約の一種であり、有効な契約となります。ただし、死後事務委任契約を締結する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 入居者と受任者は契約の内容を十分に理解したうえで同意していることが必要です。特に、受任者が賃貸借契約を解除できる代理権を有することや、残置物の処分方法、費用負担について明確にすることが重要です。
  • 入居者は「廃棄しない残置物」(相続人等に渡す家財等)を指定し、その送付先を明らかにすることが必要です。また、受任者は入居者の死亡から一定期間(少なくとも3カ月)が経過し、かつ賃貸借契約が終了した後に、「廃棄しない残置物」以外のものを廃棄することが必要です。
  • 入居者は死後事務委任契約を締結したことや受任者の氏名・名称、連絡先等を家主に通知することが必要です。また、家主は死後事務委任契約の存在や内容を確認したうえで賃貸借契約を締結することが必要です。

遺言や条件付き解除条項、遺贈も解決策の一つ

質問3

その他に有効な契約方法はありますか。

回答

死後事務委任契約以外にも、以下のような方法が考えられます。

  • 入居者が自分の死亡時に賃貸借契約を解除する意思表示を家主に対してあらかじめ行う方法。これは民法上の遺言の一種であり、公正証書遺言や秘密証書遺言等の形式で行う必要があります。
  • 入居者が自分の死亡時に賃貸借契約を解除する条件付き解除条項を賃貸借契約に盛り込む方法。これは民法上の条件付き債権の一種であり、入居者の死亡時に自動的に賃貸借契約が解除されるようにすることができます。
  • 入居者が自分の死亡時に残置物を処分するための遺贈や遺産分割協議書等を作成する方法。これは民法上の相続の一部であり、入居者が自分の相続人や第三者に対して残置物の取得や処分を指示することができます。