居抜きで合意した次の借主が直前にキャンセル!
「知っている弁護士さんを紹介してもらえませんか?」
あるテナント様(Aさんとします)から電話が来ました。問題のないテナント様で、ビルオーナーからも非常に喜ばれています。問題が起きないので、設備点検などのときに当社から連絡する程度です。突然の電話に何かビルの設備にトラブルが起きたのではないか?と身構えたところでした。
管理会社「居抜きで借りたい人を探してみます」
内容を聞くと居抜きのトラブルでした。居抜きとは、設備や什器備品をついたまま賃貸借(売買)することです。居抜き契約の詳細についてはまた別の記事にしたいと思います。
このAさんはまつ毛エクステサロンを数店舗経営されています。そのうち郊外の1つの店舗を店仕舞いすることに決めたそうです。売上減少傾向、都心エリアから外れているため求人募集で苦戦していること、その店舗のビルオーナーとの相性が悪い・・などが重なり、総合的に判断したそうです。
Aさんは、その店舗を管理している不動産管理会社に店仕舞いすることを相談しました。すると・・・
「こんなにキレイな内装はもったいないですよ。2ヶ月くらい待ってもらえませんか? 居抜きで借りたい人を探してみます。あとビルオーナーにもこちらから相談してみます。オーナーにとっても、空室期間が減らせるので悪くない話ですから」
そんなことを言われたので暫く待っていると「内覧したい方が見つかりました!」と連絡がありました。Aさんは、まだ閉店を従業員に知らせていないため、営業時間外に内覧してもらったそうです。すると・・・
「気に入りました。造作譲渡の内容を詰めさせて頂いて合意できましたら、そこから1ヶ月ほど先を契約開始日にして契約したいです」
とんとん拍子に事が運びました。
青天のへきれき「店舗の解約は白紙にしましょうか?」
不動産管理会社からは〇月末日付での解約通知書を出して欲しいと言われ、Aさんは解約予告の手続きをしました。相手方と譲渡する造作、什器備品について打ち合わせを行いました。その内容を不動産管理会社に伝えました。
サロンの従業員には他店舗への異動をお願いしました。そして、独立を決意して辞めることになった従業員の送別会も企画しました。サロンのWEBサイトを閉じ、広告ポータルサイト、警備会社やネット回線、ゴミ処理の解約手続きもしました。
順調に閉店準備を進めていたある日、不動産管理会社から連絡が入りました。
「先方から契約をキャンセルしたいと連絡がありました。一旦、解約は白紙にしましょうか?」まさに青天のへきれきでした。
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本稿は、イチイPM事業部の実務責任者・野上が書き留めた、これまで経験してきた現場のさまざまな事例について連載でお届けしています。
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