本稿は、イチイPM事業部の実務責任者・野上が書き留めた、これまで経験してきた現場のさまざまな事例について連載でお届けしています

新築のタワマンでもネット回線に泣かされる

とある新築タワーマンションの1Fの店舗区画を管理受託していたことがありました。

管理を依頼された1Fの区画を竣工直後に拝見させてもらいました。各テナントの床スラブには点検口が付いていました。
この点検口は何に使うのかマンション管理会社に確認したところ、1Fのテナント様用のインターネット回線の配管が床スラブの下を通っているので回線工事の際に使用する、とのことでした。

4路線使える利便性の高い立地の駅近タワーマンションです。マンションが竣工する時点で既に1Fのテナント様は決まっていました。

隣の区画の床点検口、まさか開ける必要がある!?

区画にはコンビニエンスストアが

ところが、入居工事が始まったとき、隣のテナント様の床スラブの点検口を開けて、通線工事をする必要があることがわかりました。
専有部内の床点検口を開ければ、自身の区画の通線工事が出来ると思っていましたが、まさか隣の区画の床点検口も開ける必要があるとは-。

デベロッパーやマンション管理会社からは何も指示されていません。隣の区画にはコンビニエンスストアが既に入居しています。竣工図面にある床点検口の位置には、既に冷蔵ショーケースが鎮座していました。
商品を陳列したまま、移動させることは困難です。隣の区画の賃貸管理会社さんに経緯を説明すると、寝耳に水のようです。
その他の区画の担当者と連携し、問題は共有されて、デベロッパーやマンション管理会社そして貸主(区分所有者)とで協議がなされました。

その後の処理は、マンション管理会社が音頭を取り、解決することになりました。

配管の中は大混雑!数時間格闘する回線工事も

光回線

退去時には、利用者が引き込んだ配線は原則撤去してもらいます。

実はこのあたりは小規模ビルではすごく曖昧なことが多いです。
光ファイバーを引き抜くときに他の線を傷める可能性があるので、次の方が利用できるような状態で残置されることもあります。
利用されている回線を断線させてしまう可能性がある場合、回線工事の会社は無理に工事を行いません。
ですが、残置された線を使わずに次のテナント様が別の通信会社の線を引き込むこともあります。
例えばNTTの光回線が残置されている区画にNURO光を通したりすることがあります。

上記のように過去の様々な条件が重なった結果、配管の中がぐちゃぐちゃだったり、隙間がなかったりする物件は意外と多いものです。

回線工事をする業者さんは、ビルによって当たりはずれがあるので大変です。
入線するのに配管が混雑していて、数時間も格闘している現場を見ることがあります。

【後工程はお客様】気遣いの連鎖はスムースな施工につながる

【後(あと)工程はお客様】とは自分の後に工事する人をお客様だと考えて施工しようということです。
これができる業者さんは次の人が一見して分かるように線に札をつけたり、盤の中に配線図のメモを残したりしています。

前の業者さんのおかげで助かった!という話を聞くと良い業者さんが入っていたのだな、と思います。その方も次に工事する人のことを考えて行動するようになるのだと思います。

巡り巡って自分の為になる。
気遣いの連鎖はスムースな施工につながるものだと思います。

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