前回の記事では、「ペットテック」という最新のテクノロジーが、ペットとの暮らしにどのような変化をもたらすのかご紹介しました。 健康管理や見守り機能、IoTデバイスの進化によって、ペットとオーナー双方にとって安心・快適な住環境が整いつつあることを伝えました。

今回は、ペット共生型賃貸住宅の視点から、ペットテックの導入が空室対策において、オーナー様が導入を検討する際のポイントや、実際の導入事例などより実践的な情報を中心にお届けします。

ペットテックを導入することで進化すること

ペットテックは、ペットと飼い主のコミュニケーションや生活の質を向上させるだけでなく、獣医療やペットフード業界とも連携し、さらなる高度なサービスへと進化することが期待されています。「サステナビリティ」(※)の観点から、環境に配慮したペットテック製品の開発も今後のトレンドとなると思います。

賃貸経営での「サステナビリティ」主な例

  • ペットの健康に配慮した素材や設備を使う
  • 電気や水をムダにしない「省エネ物件」を目指す
  • 地域と入居者との共生を大切にした管理方針

ペットテックの具体的な方向性

    方向性解説
    AIによるペットの感情分析の進化ペットの行動や鳴き声をAIが解析し、より深い感情の理解が可能になります。犬の鳴き声を翻訳する「犬語翻訳アプリ」など
    バイオテクノロジーとの融合遺伝子解析やスマート診断技術の発展により、ペットの病気リスクを予測できるようになります。ペットの長期健康管理計画の作成
    スマートホームとの連携ペットの状態に応じて、エアコンや照明を自動制御し、室内環境を最適化します。温度設定や明るさの調整、照明の点滅によるペットのリラックス効果

    AI技術の進化とペットケアの将来

    AI技術の進化は、ペットケアのあり方を根本的に変えていきます。AIを活用することで、ペットの健康管理がより効率的かつ効果的に行われペットと飼い主の生活の質が向上します。

    例えば、AI搭載のウェアラブルデバイスやスマートデバイスは、ペットの健康状態をリアルタイムでモニタリングし、異常が検出されると即座に通知を送信します。これにより、病気の早期発見や迅速な対応が可能となり、ペットの寿命を延ばすことが期待されます。ペットケアはますます高度化し、飼い主とペットの生活がより豊かになる可能性が広がっています。

    ペット関連市場はコロナ前に比べ2ケタ台の成長

    新型コロナウイルスの影響が続く中でも、国内のペット関連市場は拡大傾向にあります。矢野経済研究所の調査によると、2022年度の市場規模は前年度比約2%増の1兆7,542億円と推計されており、コロナ前の2019年度と比較すると約12%の成長が見込まれています。

    アメリカのペット関連市場(下記)も同様に拡大を続けていますが、その伸び率は日本よりも穏やかです。また、1頭当たりにかける支出も増加しており、この傾向は今後も継続すると予想されています。

    犬や猫などのペットは、家族と同様に「生活に最も喜びを与えてくれる存在」と考える人が増え、ペットが家族の一員としての位置づけを強めていることが要因とされています。

    急成長中の「ペットテック市場」、5年間で約7倍に拡大!その背景とは?

    こうした市場の拡大に伴い、ペットの健康を適切に管理し、快適な生活を提供したいという飼い主のニーズが高まっています。その結果、新たなサービス分野として急成長しているのが、ICT(情報通信技術)を活用したペットケア「ペットテック」市場です。

    矢野経済研究所の調査によると、2023年の国内ペットテック市場の見通しは5,030億円。2018年からの5年間で約7倍に成長する見込みであり、今後もさらなる拡大が期待されています。

    最新のペット医療・見守りペットテックの進化で「選ばれる物件」に

    注目される「ペットテック」。具体的にどのように使われているのかご紹介します。(参考:Morning Pitch

    首輪で健康データを取得
    (株式会社PetVoice)
    PetVoice(ペットボイス、東京都中央区)は、犬猫向けの**「アップルウォッチ」**のような健康管理デバイス「PetVoice」を提供しています。デバイス付き首輪とホームデバイスを活用し、体温やトイレ・水飲み回数などの健康データを取得できます。異変を検知するとアラームが鳴り、獣医師にオンライン相談が可能です。獣医師側はダッシュボードでデータを確認できるため、診療に役立てることができます。
    心拍データから犬の心理を可視化
    (株式会社ラングレス)
    ラングレス(東京都墨田区)は、心拍データをもとに犬の心理を可視化するウェアラブルデバイス「INUPATHY(イヌパシー)」を提供しています。難しい初期設定は不要で、デバイスを装着しボタンを押すだけで、心拍の状態から「ハッピー」「集中・興味」「ストレス」「興奮」「リラックス」の5つの気持ちを分析できます。
    同社が開発した世界初の心音特化型センサーにより、愛犬のストレスや健康状態の把握が可能となります。これにより、飼い主がペットの不調に早く気づき、コミュニケーション問題の改善につながることが期待されています。
    クラウドを通じ飼い主と動物病院がつながる
    (株式会社stepdays)
    クラウドで飼い主と動物病院をつなぐ(株式会社stepdays)
    stepdays(ステップデイズ、東京都港区)は、飼い主と動物病院がクラウドでつながるプラットフォーム「ペット手帳」を提供しています。従来、電話や紙、ファックスで行われていた業務をデジタル化することで、予約から問診、診察、処方、再診までを一気通貫で管理できるアプリです。
    現在、全国に1万2,000の動物病院がある中で、約1,000カ所と提携していますが、今後5年で3,000病院との提携を目指し、飼い主の登録数を100万人に拡大する計画を立てています。

    ペット関連市場はコロナ前に比べ2ケタ台の成長

    新型コロナウイルスの影響が続く中でも、国内のペット関連市場は拡大傾向にあります。矢野経済研究所の調査によると、2022年度の市場規模は前年度比約2%増の17,542億円と推計されており、コロナ前の2019年度と比較すると約12%の成長が見込まれています。

    なお、アメリカのペット関連市場(右記)も同様に拡大を続けていますが、その伸び率は日本よりも穏やかです。また、1頭当たりにかける支出も増加しており、この傾向は今後も継続すると予想されています。犬や猫などのペットは、家族と同様に「生活に最も喜びを与えてくれる存在」と考える人が増え、ペットが家族の一員としての位置づけを強めていることが要因とされています。

    入居者ニーズにマッチ!成長中のペットテック

    こうした市場の拡大に伴い、ペットの健康を適切に管理し、快適な生活を提供したいという飼い主のニーズが高まっています。その結果、新たなサービス分野として急成長しているのが、ICT(情報通信技術)を活用したペットケア「ペットテック」市場です。

    矢野経済研究所の調査によると、2023年の国内ペットテック市場の見通しは5,030億円。2018年からの5年間で約7倍に成長する見込みであり、今後もさらなる拡大が期待されています。