昨今、日本での飼育率状況の犬飼育率は減少傾向にあり、市場環境としては厳しい状況が続いています。なぜ、犬の飼育率が減少しているのでしょうか?

犬の飼育率減少の要因

ペットの飼育に対し「生活に癒やし・安らぎが欲しい」という期待がある一方で、飼育意向を阻害している要因は「住宅」「費用」「世話」の問題です。

これらの問題それぞれに解決策が追求され「住宅であれば飼育可能物件の拡大」「お金であれば獣医療費などの可視化」「世話であればシッターシェアリング、代行サービスの拡大」が進められてきました。なお前出の犬を飼育しない大きな理由にはペット可物件の数(供給数)が需要数に見合っていないという現状もあります。特に年齢の若い世帯の需要が高い都市部での賃貸住宅でペット可物件数が伸び悩んでいるのはペットが飼育できない大きな要因と言えます。

犬の飼育率の推移
猫の飼育率の推移

ペット飼育者とペット非飼育者の大きなひずみ

一方でフードやケアの高級化が進むなどペットの家族化が進んだ結果、ペットを大切にする飼育者と非飼育者の価値観に大きなひずみが生まれている現状もあります。このひずみが存在している以上、ハード面の環境整備はなかなか前進しないことが見込まれます。ペット共生は特に賃貸の場合、共生型専用住宅の供給から進めて行くのが一番の前進と言えます。

また猫の飼育率は横ばい・微増傾向にあり、今後も猫の飼育率は拡大が見込まれます。拡大の要因としては、犬よりも飼育しやすいというところにポイントがあるのかもしれません。またペット共生型住宅の企画においても従来は犬中心の企画が中心でしたが猫の特性も研究し、猫目線での企画も今後の市場開拓では必要となってくると考えられます。

都道府県別の犬の飼育率と殺処分数

都道府県別で最も飼育率が高いのは香川県です。2位からは三重県、岐阜県、高知県と続きます。東京都は犬の登録数が日本で最も多い一方、人口が多いため飼育率は低いことが分かります。

ペットの飼育率の高い都道府県

また下の表は飼育率と殺処分ランキングの比較です。飼育する比率が高く殺処分数も高い県が散見される。

飼育率と殺処分の比較
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弓達 隆章
Yudate Takaaki

[株式会社アドバンスネット ペット共生型賃貸管理業エグゼクティブアドバイザー]愛媛県出身、法大院卒(経営管理修士)。34年間の損害保険会社勤務を経て2018年「共生社会におけるペット保険の現状と将来」を慶大保険学会で発表。日本と海外におけるペット共生文化の相違、今後の展望をまとめる。その後、大手賃貸管理会社にて保証ビジネス担当。2022年よりイチイグループにてエグゼクティブアドバイザー兼ライター。ペット共生型賃貸不動産オーナーのための経営情報、シニア向けペット共生のすすめ、自治体と協調したペット防災等の情報発信中。防火防災管理士、賃貸住宅経営管理士。 なおペットはずっとマルチーズ派。