被災動物へ公的機関から何らかの救護活動がなされるまでには、およそ3日ほどかかると考えられます。それまで避難所においてペットを飼育する必要がありますが、被災後の3日間を乗り切るために必要最小限の道具やアイテムはおおむね以下です。「ペット用の必需品」として飼い主の非常持ち出し袋の中に合わせて詰め込んでおくことをお勧めします。

被災後3日間をのりきるアイテム

災害時に、私たちと同じようにペットも不安を感じ、いつも通りの生活ができなくなります。いざという時に備えて、ペットのための避難準備を整えておくことが大切です。必要な物資や情報を事前に揃えておけば、避難生活が少しでも安心で快適なものになります。

また、避難先でのペットの受け入れには特定の書類が必要な場合もあります。以下に、災害時に備えておくべきペットのための必需品をリストにまとめました。ぜひ参考にして、愛するペットを守るための準備を始めましょう。

  • 首輪と鑑札・迷子札
  • 水とペットフード3日分
  • 食器
  • 狂犬病予防注射済み票
  • ワクチン接種証明書
  • リード(犬)やハーネス(猫)
  • キャリーやクレート
  • タオル・バスタオル
  • ペットの写真=行方不明時の手がかりになる
  • 救急用品=包帯・滅菌ガーゼ・吸水性パッド・動物用抗生物質軟膏
  • 排泄用品=ペットシーツ・猫砂・新聞紙・消臭スプレー・密閉性ゴミ箱や袋

ガイドラインは同行非難

災害時に政府が推奨しているペットの避難方法は同行避難です。したがって避難所でペットと飼い主は分かれての宿泊となります。ペットにとっては不安で大きなストレスとなります。普段からしつけの練習をしておかないと、避難所に置いてもらえなくなります。

出典:環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」の要点

万が一の際、避難所での生活は人間だけでなくペットにも大きなストレスがかかります。避難所での生活を無事に乗り切るためには、人間もペットも快適に過ごせるよう、飼い主として責任を持ってペットの健康と安全を管理することが重要です。少しでも穏やかな環境を保つための準備と心構えが求められます。

猫のしつけ

猫をしつけるには、犬に比べて時間と労力が必要です。

猫は犬と比較して食に対する執着が少ないようです。
犬は「食べられるものなら食べる」という姿勢でエサにがっつきますが、猫は気に入らない食事だと一切口をつけなくなります。この頑固さは筋金入りで、食べたくないものを食べるくらいなら餓死を選ぶという意地っ張りまでいるのです。

こうしたハングリー精神の違いは、ごほうびに対するリアクションや学習速度に影響を及ぼします。犬の場合はごほうびで簡単に動きを誘導できますが、猫の場合はなかなか難しいでしょう。

また、犬の場合はたった1回のごほうびで強化できる行動が、猫の場合は数倍の労力を必要とすることもしばしばです。
犬は社会的動物で集団で狩猟を行うのに対し、猫は社交性が低く単独で狩猟を行います。こうした社会性の違いは、「ほめられる」ことに対するリアクションに大きな違いをもたらします。

犬と猫とのちがい

犬にとって「ほめられる」、すなわち他の個体から容認されることは、「集団に受け入れられた」ことを意味し、自分の生存確率を高めてくれる重大な出来事の一つとしてとらえられます。

しかし猫の場合、他の個体から容認されることと、自分の生存確率とを直結させるという思考パターンが、そもそも存在していないと考えられます。猫にあるのは恐らく、「自分に関心を向けて満足」という感情や、「なでられて気持ちいい」という感情だけであり、これは「容認されてうれしい」、「ほめられてうれしい」という感情とは別物です。

猫に何かをしつける際には、ごほうびと罰が必須です。「ごほうび」(強化刺激)とは猫に快感をもたらすもので、「罰」(嫌悪刺激)とは逆に不快感をもたらすものを指します。

猫に対するごほうびの使い方は、「正しい行動ができたときに与える」か、「間違った行動を取ったときに取り去る」のどちらかです。前者を「正の強化」、後者を「負の弱化」と言います。猫に快感をもたらすごほうびの一例は以下です。

猫に快感をもたらす「ごほうび」

猫は気まぐれでマイペースですが、愛情深く接することで彼らの信頼を得られます。その一環として、猫にとって特別な「ごほうび」を用意することは、コミュニケーションを深めるうえでとても大切です。おやつや撫で方、遊びのタイミングなど猫が喜ぶポイントを見極めて、愛猫との絆を一層深めましょう。

  • なでる
  • グルーミング
  • エサ・おやつ
  • 関心を向ける
  • 遊んであげる

猫に対する罰を与える際には多くの注意が必要で、デメリットも多いため、基本的には避けるべきです。特に、人間の手を使った「体罰」は猫の警戒心を強め、時に共同生活の破綻を招いてしまうため、最もやってはいけない行為と言えます。

猫のトイレ学習
猫砂とびちり防止学習
猫の爪とぎ場所学習

猫の防災グッズ

猫用の防災グッズが準備できていないと猫との避難が難しくなるリスクがあります。自宅での避難ができない場合、避難所や知人の家へ猫を連れて避難をします。

しかし、必要な猫用の防災グッズを持たずに猫と一緒に避難すると、避難先で自分自身や猫の安全性が保てずに他人とのトラブルに発展してしまう可能性があるのです。そのため、猫を連れての避難が困難になり猫を置いて避難することを検討しなくていいように、猫用の防災グッズは必要です。

避難所での安全なペット同行避難のために!猫の感染症予防と防災グッズの重要性

避難所には多くの方がペットを連れて避難してきます。なかには、感染症を防ぐ予防接種をしていない飼い猫もおり、自分の飼い猫が接触をするのはあまりおすすめできません。特に、災害が起きてすぐは犬や猫も混乱し、人間が予期せぬ行動をとります。

動物同士の喧嘩に発展して怪我をしたり感染症になったりするリスクが高まります。不用意に他のペットに近づくことを防ぐためにも、猫用の防災グッズを購入し、猫の行動を上手にコントロールしてあげるのも大切です。

フード・水・薬は最優先で備蓄する

愛猫の命を守るためにも、優先的に準備しておきたいのがフード・水・薬です。ペット用品は、人間が必要な物品以上に手に入りづらくなります。

一般的に人用の場合、貯蓄食料の目安は7日分ですが、ペット用品は入手が困難になるため多めに備蓄しておくのがおすすめです。特定のメーカーのフード・療法食が必要な場合は、1ヶ月分程度の予備を含めつつ、日頃からローリングストックしておきましょう。

衛生面を保つトイレグッズは必須

猫の衛生面を保つトイレグッズは必要不可欠です。

  • スコップ
  • 猫砂
  • ポータブルトイレ
  • ペットシーツ
  • 防臭機能のあるゴミ袋

衛生面を保つためにもトイレグッズは必須アイテムです。犬に比べて糞尿の匂いが強い猫は、避難所で糞尿トラブルに見舞われやすくなります。さらに、デリケートな猫は普段使用していないトイレ・猫砂で用を足さなくなってしまう可能性があります。そのため、猫用防災グッズの中には、猫砂やトイレをしっかり準備しておくのがおすすめです。

猫砂は、人間が持って運べる1〜2Lを目安に準備してください。
防災グッズを準備する際は、普段から使い慣れているものから選ぶのがポイントです。

普段から使い慣れているものを選ぶ

猫はデリケートで、日頃から新しいものに馴染むまで時間がかかる動物です。飼い主にとっても使い慣れない物は、防災グッズとしていざ使用する際に手間がかかったり上手く扱えなかったりします。

そのため、猫の防災グッズとして準備するものは、普段から使い慣れているものを選んでください。

猫用リード(同行避難時使えます)

避難所での猫との同行避難には、感染症予防や安全確保のために事前準備が欠かせません。
特に、猫用の防災グッズは「ペット用リュック」「携帯猫用トイレ」「折りたたみ式ペットボウル」「猫用ポータブルトイレ」の4つが基本となります。

これらを揃えておくことで、災害時でも愛猫の安全と健康を守り、周囲の人や他のペットへの配慮も可能になります。緊急時に備え、日頃から防災グッズを準備し、猫の行動や健康管理ができる環境を整えておくと安心です

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弓達 隆章
Yudate Takaaki

[株式会社アドバンスネット ペット共生型賃貸管理業エグゼクティブアドバイザー]愛媛県出身、法大院卒(経営管理修士)。34年間の損害保険会社勤務を経て2018年「共生社会におけるペット保険の現状と将来」を慶大保険学会で発表。日本と海外におけるペット共生文化の相違、今後の展望をまとめる。その後、大手賃貸管理会社にて保証ビジネス担当。2022年よりイチイグループにてエグゼクティブアドバイザー兼ライター。ペット共生型賃貸不動産オーナーのための経営情報、シニア向けペット共生のすすめ、自治体と協調したペット防災等の情報発信中。防火防災管理士、賃貸住宅経営管理士。 なおペットはずっとマルチーズ派。