▲壇上は(右から)当社荻野、田上氏、松永氏、川口氏
現場対応力はどうして限界がある?
能登半島と熊本の大震災を経験した賃貸住宅管理会社がこの4月に東京に集い、「震災から得た課題」などのテーマで開催された討論会が大きな反響を呼びました。被災時の現場対応力の限界など、さまざまな教訓が浮き彫りとなったからです。
今春も全国各地で地震が頻発していますので、私たちはそうした教訓を活かしていきたいところです。
日管協主催、被災地支部長が体験語る
全国の賃貸住宅管理会社で構成する(公財)日本賃貸住宅管理協会(通称:日管協)は4月17日、防災をテーマにしたパネルディスカッションを東京で開催しました。
同協会常務理事でイチイグループ代表の荻野がファシリテーター(まとめ役)となり、被災地から3名の同協会支部長(いずれも地域の賃貸管理会社社長)がパネリストとして登壇。震災直後の対応や復旧に向けての取り組み等について意見を交わしました。
設備業者との緊急時連絡体制がカギ
■日管協・石川県支部長 田上育美氏(㈱アパートマン 代表取締役)
今年元日の能登半島地震で被災した田上氏は、地震発生直後の状況などについてこう報告しました。
『地震が発生してから3日間、休みなしで入居者や不動産オーナーへの対応で奔走しました。設備業者さんの確保に苦労しながらも、災害マニュアルを活用しながら何とか対応しました。
教訓としては、設備業者さんの担当者個人(会社ではなく)の携帯番号を把握しておくべきだったことを痛感しました。
そして、現場の司令塔となる管理職は、対応フローを事前によく理解しておくこと、従業員の心のケアをすることなどが何よりも重要です』
■日管協・富山県支部長 松永泰一氏(㈱ディライト 代表取締役)
能登半島地震を経験した松永氏は、反省点などについてこう話しました。
『富山は地震が起きないないと言われていたためか、経験や知識不足から正確な対応ができなくて、トラブルになったケースもありました。
今回震災を経験した結果、知らないことが何よりも怖いと思いましたね』
疲弊したスタッフはどうケアするか
■日管協・熊本県支部長 川口圭介氏(㈱明和不動産 代表取締役CEO)
「平成28年熊本地震」で被災した川口氏は、スタッフのケアなどについてこう語りました。
『漏水などへの苦情とその復旧に追われて、すべてが片付くまでには3年の月日を要しました。日ごろから設備業者さんとの関係を築いておくことがいかに大切であるかを思い知らされました。
そして、次々と寄せられるクレームに対処するスタッフに対しては、会社として十分な心のケアが必要です。当時はSNSでつながっている方々からの励ましや支援が大きな支えになりました』
震災で得た教訓を防災マニュアルへ
そうした討論を終えて、ファシリテーターの日管協・荻野常務理事はこう締めくくりました。
『震災を実際に体験されている皆さんの話はとても参考になります。今回の能登半島地震での取り組みや教訓・課題は、当協会作成の「防災マニュアル」へ改訂版発行のタイミングで加える予定です。
そのノウハウを皆で共有し、いざというときに実践できれば、入居者やオーナーをはじめ地域の住民を守ることができると思います』
空室対策・空き家活用 +Lifeちえいず
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