〈前号よりつづく〉
【トラブル 空室/第53話】コロナに感染、次の入居者へ知らせる?

不動産業界における「事業再開チェックリスト」

いよいよ今年4月から民法が改正(施行)され、賃貸借契約のルールが大きく変わりました。オーナー様とご入居者にご説明するのは私たちの役目ですね。

大家さん「貸家の入居者より、屋根から雨漏りがするので早く修理してほしいと連絡がありました。その半月後、『台風が接近しているのでもう待てない!業者に発注し、応急手当で穴をふさいだ。修理代を払ってください!』と言ってきた。大家に黙って工事をするなんて、そんなことしていいんですか?」

請負人「改正された民法では次の場合に限り、借主が借りた物を自分で修繕できると定めています(民法607条の2)。」

改正された民法607条の2

借主が貸主へ修繕が必要であると通知したか、又は貸主がそのことを知ったにもかかわらず、貸主が「相当の期間内」に必要な修繕をしないとき、又は(2)「急迫の事情」があるとき。
「急迫の事情」があるとき。

上記の2通りの場合、借主は勝手に修繕しても、貸主から責任を追及されません。借主はかかった費用を貸主から返してもらうことができます。」

「相当の期間」「急迫の事情」とは?

ところで、貸主が借主から通知を受けた後の「相当の期間」とはどのくらいの期間なのでしょうか(そして半月後は?)。また、「急迫の事情」とはどんな状況なのか(台風の接近は?)。民法の条文には具体的な定めがありません。今後の裁判例などを確認していく必要があります。

※なお、原則として、施行日の今年4月1日より前に締結した賃貸借契約は改正前の民法が適用され、4月1日以後に締結した契約は改正民法が適用されます。

オーナー様にはまず何よりも、物件の日常的なメンテナンスをしっかりと行い、壊れる前に修繕・交換を怠らないことが、改正民法への対応策として最も重要ではないかと考えております。

〈つづく〉