【1分小話】つぶやく「イチイのトラブル請負人」
「入居者トラブルとっておき対処法」大家さん応援物語をコラムでお送りします。
空き巣で玄関ドアや鍵が壊れた!修理費は誰が払う?
大家さん
「参ったよ・・・。103号室で空き巣被害だ。玄関ドアと鍵を壊して侵入されたらしい。入居者がすぐ業者を呼んで修理したそうで、その費用を請求してきた。緊急なのは分かるけれど、事前にひと言ほしかったなぁ。」
請負人
「お気持ちは分かります。ただ、玄関ドアや鍵が壊れ、住まいの安全を確保できない状態だったのであれば、緊急対応が必要だった可能性があります。
入居者に故意や過失などの責任がなければ、修理費は原則としてオーナー様のご負担になると考えられます。」
空き巣によって玄関ドアや鍵が破損した場合、入居者が安全に住み続けられる状態へ戻すための修理は、通用、貸主が負担する修繕にあたります。
ただし、実際の負担区分は、被害状況、入居者の責任の有無、修理の必要性、費用の妥当性、賃貸借契約書の内容などを踏まえて判断します。
入居者が先に修理しても、費用は請求できる?
民法607条の2では、借主が修繕を必要とする事情を貸主へ通知したにもかかわらず、貸主が相当期間内に修繕しない場合や、緊迫した事情がある場合には、借主が自ら修繕できると定めています。
玄関ドアが壊れて施錠できない、鍵が破損されて室内の安全を確保できないといった状況は、急迫した事情に当たる可能性があります。
夜間や休日で管理会社・オーナーと連絡が取れず、防犯上すぐに復旧しなければならない場合は、入居者が業者へ依頼することも考えられます。
- 緊急性が本当にあったか
- 修理内容が必要最小限だったか
- 相場から大きく外れた費用ではないか
- グレードアップ工事まで含まれていないか
- 管理会社やオーナーへ速やかに報告しているか
民法608条では、借主が本来は貸主負担となる必要費を支出した場合、貸主へ償還請求できると定めています。
入居者(借主)負担になりやすいもの
| 電球交換 | 「消耗品の交換」にあたり、通常は借主の負担 |
| パッキン交換 | 蛇口のパッキンなどの軽微な修繕は、民法第608条の「保存行為」の範囲内として借主負担とされるのが一般的 |
| 軽微な消耗品 | 網戸の張り替えや、時計の電池などもここに含まれる |
オーナー(貸主)負担になるもの
| 建物本体の破損修理 | 「屋根、外壁、構造躯体などは貸主の修繕義務 |
| 設備の経年劣化修繕 | エアコン、給湯器、備え付けの冷蔵庫などが普通に使っていて壊れた場合は貸主負担 |
| 第三者による破壊行為 | 入居者に「善管注意義務違反(鍵をかけ忘れた等)」がない限り、第三者による損害(窓ガラスを割られた等)は貸主が修繕する義務を負う |
知っておくべき「民法改正」のポイント
2020年4月の民法改正により、以下の点が明文化されました。
| 借主の修繕権(民法607条の2) | 「修繕が必要であることを通知したのに、貸主が相当の期間内に修繕しないとき」や「急迫の事情があるとき」は、借主が自ら修繕し、その費用を貸主に請求できる |
| 通常損耗・経年劣化の修繕義務(民法621条) | 退去時の原状回復において、普通に住んでいて古くなった分(経年劣化)については、借主は修繕費用を払う必要がないことが法律に明記 |
オーナーが取るべき実務対応
空き巣被害が発生した場合は、感情的に「勝手に修理した」と判断する前に、次の点を確認しましょう。
- 警察への通報・被害届の状況を確認する
- 玄関ドア、鍵、窓などの被害状況を写真で確認する
- 保険の適用確認
- 修理内容が必要最小限か、費用が妥当かを確認する
- 入居者に故意・過失がなかったかを事実ベースで確認する
- 火災保険・建物保険の補償内容を確認する
- 必要に応じて、補助錠、防犯カメラ、センサーライトなどの再発防止策を検討する
保険は契約内容によって補償範囲が異なるため、建物保険、家財保険、特約の内容を保険会社や代理店へ確認することが大切です。
空き巣で玄関ドア・鍵が壊れたら?修理費の負担と緊急時の対応
空き巣によって玄関ドアや鍵が壊れた場合、入居者に責任がなければ、原則としてオーナー側が修理費を負担するケースと考えられます。
一方で、借主が事前連絡なく修理を手配していた場合でも、施錠不能などの緊急性があり、修理内容と費用が必要かつ妥当な範囲であれば、費用償還が認められる可能性があります。
入居者対応では、「誰が悪いか」だけで判断するのではなく、安全確保、修理の必要性、費用の妥当性、契約内容を整理して対応することが重要です。
※本記事は一般的な賃貸借契約の考え方を解説したものです。実際の負担区分は、契約内容、被害状況、入居者の責任の有無などによって異なります。争いがある場合は、管理会社、保険会社、弁護士などの専門家へ確認しましょう。
