世界有数の地震国、日本。世界で法制度として政府管掌の地震保険システムが存在するのは日本と台湾のみ。なおアメリカの一部の州やトルコ、ニュージーランド等の地震国には地震保険的な補償は存在します。

わが国では、大規模な地震災害の度に地震保険の補償範囲も少しづつ拡大され、現在は地盤液状化損害も担保の範囲になっております。日本の地震保険商品の概要と他国の自然災害に対する対応(保険)も加えて比較してみます。

地震保険の概要

  • 日本の地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。地震保険では、大地震による巨額の保険金の支払いに備えて政府が万一の際も保険の仕組みが破綻せぬようにバックアップしています。
  • 地震保険の対象は居住用の建物(マンション共用部分を含む)と家財です。
  • 火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・ 拡大した損害は補償されません。
  • 地震保険は、火災保険に付帯する方式での契約となりますので、火災保険への加入が前提となります。地震保険は火災保険とセットでご契約ください。すでに火災保険を契約されている方は、契約期間の中途からでも地震保険に加入できます。
  • 地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています

政府による再保険

  • 地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理しています。
  • 1回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額は、毎年度、国会の議決を経た金額を超えない範囲内のものでなければならないとされています。
  • 現在、その金額は11兆7,713億円であり、民間保険責任額と合計した1回の地震等による保険金の総支払限度額は12兆円です。
  • なお、万一、この額を超える被害地震が発生したときには、被害の実態に即し、また、被災者生活再建支援制度の活用など他施策も考慮しつつ、保険制度の枠内にとらわれず幅広い観点から、財源の確保も含め、適時適切に政策判断が行われるものと考えております。

地震保険の補償内容

  • 保険の目的となるのは居住の用に供する建物および家財(生活用動産)。
     以下のものは対象外となります。
    工場、事務所専用の建物など住居として使用されない建物、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨とう、通貨、有価証券(小切手、株券、商品券等)、預貯金証書、印紙、切手、自動車等。
  • 火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で地震保険の保険金額を決めることが可能です。 ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です。

年度末に税金の保険料控除が受けられるのは政府が引き受けている「地震保険料」のみです。(引用:財務省「地震保険制度の概要」より)

「地震危険等上乗せ補償特約」とは?取り扱い損保と保険料

地震危険等上乗せ特約」とは
地震保険は損保各社で共通の保険ですから、補償金額には上限があります。通常の地震保険そのものに上乗せ補償の特約があるわけではありません。火災保険に必ず付帯して地震保険は契約するため、火災保険に地震危険等上乗せ補償などの特約などがあると考えてください。もちろんこうした補償のない火災保険もあります。(保険会社により上乗せ補償商品の有無は異なります。)

「地震危険等上乗せ補償特約」とは?
一般的に地震等による火災、損壊、埋没、流失などの損害で地震保険金が支払われる場合、地震保険の保険金と同額が支払われる補償です。
※損保によって多少保険商品名称が異なることがあります。

この特約地震保険を合わせることで、最大で火災保険金額の100%まで(つまり建物の評価額まで)の備えが可能です。一般的な地震保険の補償が火災保険の50%までという制限を補う補償です。

しかしもともと地震災害が持つリスクの特性から(多くの人が被災するため助け合いが成り立ちにくい)、損保会社だけで地震保険制度の運営は難しい面があります。地震保険が官民一体の制度になっているのはそのためです。


そう考えると、地震の上乗せ補償でも基本的な考え方は変わらないため、すべての損保が上乗せ補償を設けるかというとそう簡単ではないのです。
なお、多少名称の異なる損保もありますが、地震保険以外に地震による損壊や津波などまで補償するものを次に挙げていきます。

具体的に「地震危険等上乗せ特約」を取り扱っている損保を挙げておきます。(順不同)

「地震危険等上乗せ特約」を扱う損害保険

同じような名称の特約ではあるものの、補償範囲や条件などが必ずしも一致しているわけではないので注意してください。例えば、全半損時だけ保険金を支払うようなかたちになっていると、一部損では地震保険から保険金の支払いがあってもこの特約からはありません。

また、この特約をつけると地震保険の保険期間が1年自動継続になったりします(基本契約の火災保険が5年長期契約などでも地震保険だけは保険期間1年で自動継続となります)。

「地震保険上乗せ特約」は最近のはやりですが、実際は大規模災害時に政府や自治体からの補助金も出るので地震保険の50%が上限とは限りません。
但し住宅ローンを組んでいる方は100%の補償がないと不足分が手出しとなってしまいます。
「地震保険上乗せ特約」のニーズはそこにあると言えます。

地震危険等上乗せ特約の保険料の例

火災保険や地震保険、および地震上乗せ特約は、物件の構造や所在地など諸条件によって大きく変わります。一例としてソニー損保の火災保険に地震保険を付帯、これに地震上乗せ特約をつけた場合の保険料をネットで試算してみたのでみてみましょう。

見積条件(ソニー損保)

  • 所在地:東京都 築5年 保険始期:2021年3月10日
  • 保険の対象:建物
  • 保険期間:1年

補償内容(建物保険金額3,000万円、地震保険1,500万円)

  • 火災、落雷、破裂・爆発
  • 風災、雹災、雪災
  • 水災(M構造のみ除外)
  • 水濡れ、建物外部からの衝突など
  • 盗難

特約

  • 地震上乗せ特約(全半損時のみ)

割引

  • 築浅割引(経過年数5年) 地震保険建築年割引

※保険料は地域や構造、保険対象、保険金額などで変わります。

保険料(一括払)

  • M構造 80,363円 (うち地震保険37,200円 地震上乗せ特約34,383円)
  • T構造 90,520円 (うち地震保険37,200円 地震上乗せ特約34,383円)
  • H構造 161,470円 (うち地震保険57,000円 地震上乗せ特約66,300円)

※M構造(マンション)、T構造(一戸建ての鉄骨造など)、H構造(省令準耐火を除く一戸建ての木造住宅など)

ソニー損保の場合、上乗せ特約を付けると地震部分の保険料は合計で大体2倍となります。

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