本稿は、イチイPM事業部の実務責任者・野上が書き留めた、これまで経験してきた現場のさまざまな事例について連載でお届けしています。

オフィスビルで発覚した漏水

オフィスビルで起きた恐怖の漏水のお話しです。
そのオフィスビルの水道は親メーターに対して水道局の検針があります。
そしてビル1棟全体で使用した水道料が一括してオーナー様に請求されます。
各フロアの水道料の請求に関しては、各フロアに設置された子メーターをビルメンテナンス会社が検針し、それを元に使用料を按分して各フロアのテナント様へ弊社より請求しています。

弊社がそのビルをが管理受託した際のお話です。
水道料の請求の方式については事前に打ち合わせを済ませていました。
弊社提携のビルメンテナンス会社が初回の検針をして検針表を作成してくれました。
按分して各テナント様への請求書を作成しようと検針表を確認します。
しかし、どうもあるフロアだけ水道使用量が飛びぬけて高い数値になっています。

漏水の原因を調査

前の管理会社から過去数年分の水道使用量をもらいます。
今回だけ使用量が多いわけではありませんでした。
どこかから漏水しているのか?
何か特殊なテナント様が入っていただろうか?
それともいたずらか?
数年にわたり、他のフロアより70立米(7万リットル)も回っています。
料金にすると2カ月で30,000円前後です。
全体の家賃からすると大きな数字ではないし、オーナー様も一括で水道料を支払っているので1棟全体の水道料金に大きな変動が無い限り気付かなかったのかもしれません。
該当のテナント様も初めて請求がきたときに、この程度の金額なのか、と納得していれば、その後大きな変動がない限り、疑問に思われていないことも考えられます。

該当のフロアにはコールセンターが入居していたので、他のフロアより人数は多そうでした。それが原因なら多少高くても受益者負担なので妥当とも言えるので問題ではありません。でも本来使用していなかった水道料を請求していたとなると話は別です。

不動産管理の答えは現場にある

不動産管理のお仕事の答えは大体現場にあります。やはり現地を確認します。
そのオフィスビルは各階に共用のトイレと給湯室があるタイプでした。
トイレにお邪魔しましたが、漏水の様子はありませんでした。
洗面化粧台の水栓も漏水していません。
給湯室へ行ってみました。給湯室の水栓も漏水していません。
答えが現場に無いようです。

諦めかけていたとき、ふと給湯室のシンクの下の戸を開いてみました。
そこには小型電気温水器が入っていました。
ガスが引かれてない建物では、手洗い程度の少量のお湯を供給するために小型電気温水器が使用されることがあります。
その小型電気温水器の排水器具のところでポタポタと水が漏れ続けているのを発見しました。
沸かしたお湯が膨張し、溢れ出る水を排水するとことなので、外に漏水は起こりません。
なのでカビや床が濡れるなどの被害が発生しません。これが長期間、漏水に気付かなかった要因です。

オーナー様とテナント様の協力による解決

この程度の水漏れで2か月に7万リットルもの水が漏れていたことになります。
原因が分かったので修理手配をしました。

翌月の使用料は正常な範囲に戻りました。
さて、問題はこれをテナント様へどう伝え、どう解決するかです。
いつから漏水が起きていたのか更に過去のデータを調査しようと思っていたところ、
オーナー様からは現入居者の入居開始から現在までの請求回数×2万円を家賃から相殺して返還したいとご提案がありました。
テナントのご担当者様は、払い過ぎていたものが戻るなら、と快く納得されました。
オーナー様の良識的な対応のお陰で大きなトラブルにならずに済みました。

今回、見えない部分での漏水が原因でした。
テナント様は気付きようがありません。
旧ビルメンテナンス会社の点検範囲だったのだろうか?
検針表の変化を見ていれば気付いたのか?
検針表の利用量が徐々に増加していったとしたら。
責任の追及は簡単ですが、原因の解決と再発防止はもっと大事です。
少しの変化に気付けること。
これも不動産管理会社の従業員にとって大事なことだと改めて感じました。

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