ペットテックで守る！ペットの健康と快適生活【中編】

AIやIoT技術の進歩により、ペットの健康や行動を科学的に管理できる「ペットテック」。ペットと家族をサポートする新サービスや製品が続々と登場しています。今回は、ペットテック市場の現状をご紹介します。

ペットテックとは

「ペットテック」とは、ペットの健康や日常ケアをIT技術でサポートする新しい分野です。
スマートデバイスやAIを活用することで、飼い主はペットの健康状態や行動をリアルタイムで把握・管理することができます。AIやIoT、ウェアラブルデバイス（身につけて使用する小型コンピュータ機器）、そしてスマートホーム技術の進化により、ペットテック市場は急速に拡大しています。

ペット市場の現状と変化

犬や猫といったペットは、全世界で推定8億頭以上が飼育されているといわれています。近年では、ペットを単なる愛玩動物ではなく、人生の伴侶や家族の一員と考える「コンパニオンアニマル（伴侶動物）」という概念が広まりつつあります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により自宅で過ごす時間が増えたことで、日本では犬・猫の新規飼育頭数が増加傾向にあります。ペットと暮らすことは、心理面にもポジティブな影響があり、ペットが「家族と同等、あるいはそれ以上の喜びをもたらしてくれる存在」として認識されるようになっています。

AIが支える新ペット管理

行動解析システム

AIを活用した行動解析システムでは、ペットの行動パターンを詳細にモニタリングし、異常行動を早期に検出できます。これにより、病気の兆候をいち早く発見したり、問題行動を未然に防いだりすることが可能になります。

ペットの感情認識

最新のAI技術では、ペットの表情や鳴き声を解析し、ストレスや不安、幸福感などの感情を判断できます。例えば、犬が頻繁に吠える原因がストレスや不安によるものであれば、適切な対策を講じることでペットの生活の質を向上させることができます。

特に、猫や犬の顔の表情から痛みやストレスを検出する技術が注目されています。例えば、AIモデルが猫の微細な顔の変化を捉え、病気やけがによる痛みの兆候を判別し、早期治療に役立てることができます。

ペットテックの具体的な活用事例

ペットテックは、ITを活用してペットの生活を豊かにし、飼い主の負担を軽減する製品やサービスの総称です。代表的な活用事例をいくつかご紹介します。

■健康管理

ウェアラブルデバイス	・ペットの活動量、睡眠、心拍数などを記録し、健康状態を把握 ・GPS機能で迷子防止
スマートトイレ	・尿検査で健康状態をチェック ・排泄物の量や回数を記録
オンライン診療	・ビデオ通話で獣医師に相談 ・健康データを共有し、的確なアドバイスを受ける

■見守り

見守りカメラ	・外出先からペットの様子を確認 ・異常があれば通知 ・AI機能により、ペットの異変を検知
自動給餌器・給水器	・設定した時間に自動で食事や水を提供 ・カメラと連動し、ペットの食事の様子を確認可能

■その他

ペット用スマート玩具	・自動で動くボールやレーザーポインターで、運動不足解消 ・スマートフォンで遠隔操作
ペットの感情分析	・AIで鳴き声や表情を分析し、感情を推定 ・ペットのストレス軽減に役立てる
ペットの個体識別システム	・鼻紋、虹彩などで個体を識別し、迷子や盗難防止 ・災害時のペット捜索にも活用

ペットテック IoTのメリット

ペットテックとIoTが融合することで、ペットとの暮らしが便利で安心なものに変わりつつあります。たとえば、ウェアラブルデバイスや見守りカメラを使えば、外出時でもペットの健康状態や安全をリアルタイムでチェックできます。

さらに、自動給餌器やスマートトイレを活用すると食事や排泄の管理が自動化されるので、毎日の世話の負担がだいぶ軽くなります。この技術によりペットの健康寿命が伸びるだけでなく、忙しい現代社会や高齢者の方でもペットを迎えられる環境づくりに貢献できます。

今後、普及が進むことで、ペットとの暮らし方がさらに進化し、ペットの福祉向上につながることが期待されています。