「住みたいランキング」常連の街、吉祥寺。商業施設が集結する吉祥寺駅から井の頭公園を通り抜け、さらに奥に進むと住宅地が現れます。ここ、三鷹市井の頭4丁目の一角にあるイチイ吉祥店が仲介したテナント様が、2025年秋にカフェ「DORM INOKASHIRA(以下、DORM)」としてオープンします。

店主の湊明子さんは井の頭に対して並々ならぬ想いがあり、今回のカフェ開業も地域とのつながりなしには語れません。 “井の頭のリビングルーム”を目指す地域に溶け込む店づくりとは一体どのようなものなのでしょうか。今回は、湊さんに井の頭というエリアの魅力やカフェにかける想いについて伺ってきました。

住民の思い出に彩り添える“開かれた場所”

7月某日。訪れたのは湊さんが今秋カフェを構える物件。まだ施行中であるものの近隣住民の方々が出入りしています。その理由は、井の頭公園で開催されていた「井の頭ふれあい盆踊り大会」。湊さんがメンバーとして所属している「井の頭浴衣着付け有志の会」による浴衣の着付けが行われていました。

湊さん(以下、敬称略):「井の頭浴衣着付け有志の会」は、私が習っている着物教室の先生と生徒、近所の着物好きな方々で発足しました。「三鷹台盆踊り大会」に合わせて「浴衣着付け会」を開催したのがはじまりで、今年で3回目になります。“現代ではなかなか着る機会が少ない和装を少しでも身近に感じてほしい”という思いからこの活動を始めました。今年は、私が井の頭に店を構えるということで「井の頭ふれあい盆踊り大会」にあわせて実施することにしました。

DORM INOKASHIRA 湊明子さん

年々口コミで広がり、今年は子どもから大人の男女までと幅広く、合わせて30組ほど着付けされたとのこと。大人はもちろん、普段着物を着ない子どもからも好評で、この辺りの恒例イベントとして定着しつつあります。

湊:着物は日本の伝統衣装です。全て同じ形ですが、色・柄・素材で季節やその時の気持ち、敬意や礼儀を尽くす心を表現しているのが魅力であり、日本の奥ゆかしい文化に触れられます。今後もこの活動を通して、地域の方々の夏の思い出に華を添えるお手伝いをしていきたいと考えています。

開業前にも関わらずDORMを開き、地域住民の暮らしに彩を添える。すでに地域住民のリビングになっていました。

完成に近づくにつれて表情が晴れやかになっていく

井の頭は「誰もが子どもを見ながら暮らす地域」

息子さんの学校行事やPTA活動を機に地域との関わることが多くなった湊さん。地元サッカーチームの運営代表を務めた際には、公共施設の利用や行事の参加等を通してより関わりが深くなっていきました。湊さんにとって井の頭はどのような地域なのでしょうか。

湊:シングルマザーで働きながらの子育ては本当に大変でしたが、これまで地域の方々に本当に助けられました。私の場合を除いても、井の頭は地域全体で子どもを見守る体制が整っています。例えば、交通量の多い場所には危険エリアMAPを作ったり、見守り隊が旗を振って誘導したり。コミュニティセンターでは高齢者と子どもが交流できる場やイベントがあったり。井の頭は、これという役割を持たない方々も子どもを見ながら暮らす地域です。私にとっての井の頭は「地域で子どもを育てるまち」ですね。

夏の夕暮れ、着替えを済ませた近所の子どもたち。軽やかな足取りで盆踊り会場へ向かう。

新しい風を吹かせてもう一度賑わいを

しかし、息子さんが高校生になり子育てが徐々に落ち着いてくると、この地域に対する見方が変わってきたと話します。

湊:かつてこの辺りは70軒以上の店舗が立ち並ぶ賑やかな商店街でしたが、今ではシャッター街。飲食店や商店がほとんどありません。子どもがいる共働き世帯や高齢者からすると非常に不便です。

静かでありながら強烈な存在感を放つ黒門

商店街の入り口には木製の黒い鳥居があります。実は鳥居ではなく「黒門」といって、井の頭公園にある弁財天の参道入口にあたるもの。そのため、かつては人の往来が絶えない通りでした。これを受け、湊さんはもう一度賑わいを取り戻したいと思い、出店を決意します。

湊:おこがましくも、これまでの恩返しのつもりで新しいスポットを作ってみようと思いました。みなさんが立ち寄って、ホッと一息できる場所を作りたい。子どもを持つ親世代が新しい場所を作ることで、地域の雰囲気が変わるのではないか。新しい風が吹いたら、もっともっと住みやすく、明るいまちになるのではないかと考えました。

「DORM」に込められた想い

店名のDORMとは、大学寮の略語。自身の大学時代、留学先のボストン大学の寮が由来です。

湊:寮にはリビングルームがあり、そこの光景がとても印象的でした。世界中から集まってきた、夢と希望に溢れた学生達。分厚い本やギターを抱えながら、おもいおもいに過ごしていた彼らの姿を今も鮮明に覚えています。あの才能とエネルギーが溢れるリビングをイメージしてDORMと名付けました。このお店が「井の頭のリビングルーム」として、さまざまな方々に使っていただける場所になればいいなと思っています。

湊さんからメッセージ

最後に、湊さんからメッセージをいただきました。

暖かい眼差しでイキイキと語る姿がとても素敵

:今まで飲食を経験したことも店舗を経営したこともない私が、地域の皆さまの温かい応援と自分でもびっくりするくらいの“勢い”でここまで立ち上がりました。経験も知識も無いので、「こうでなくてはいけない!」という固定概念がありません。皆さまにどうやったら受け入れてもらえるか、便利な場所になるだろうか。それだけを考えて、この場所をつくっています。

オープンしてからも、自分の想像とは違ったお店になるかもしれませんが、質の良いもの・意味のあるもの・嘘のないものをご提供しながら、地域の皆さまの場所になるように頑張ります。

さまざまな想いが込められたカフェDORM。オープンが待ち遠しいですね。オープン後の様子もお届けしますので、続報にご期待ください。

お祭りの華やぎに包まれる店舗前
江戸の芝居小屋の名を刻む、延享二年建立の道標
祭囃子とともに揺らめく提灯
井の頭公園に息づくみずみずしい草木
  • 住所:東京都三鷹市井の頭4-14-11
  • Instagram :@dorm_inokashira
  • 営業時間・定休日・アクセス:Coming soon
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