賃貸物件で雨漏りが発生すると、入居者様やテナント様の大切な荷物に被害が及ぶだけでなく、建物内部の劣化につながる恐れもあります。

今回の物件は、当社へ管理が移管されたオフィスビルです。
これまでの管理会社からは、大規模修繕に関する具体的な提案がない状況でした。

そのような中、入居テナント様より「窓際のブックラックに置いていた本が、雨漏りで傷んでしまった」とのご連絡をいただきました。
梅雨や台風シーズンを迎える前に、まずは雨漏りを止めることが急務となりました。

大規模修繕の前に部分補修で対応できるケース

居室の窓に雨垂れの跡を発見
窓際に残った雨垂れの跡。漏水箇所を見極め、必要な補修範囲を確認します。

雨漏りが起きた場合、すぐに建物全体の大規模修繕が必要になるとは限りません。外壁全体の劣化が進んでいる場合や、複数箇所で不具合が見られる場合には、大規模修繕を検討する必要があるからです。

漏水箇所が限定されている場合には、まず原因箇所を見極め、必要な範囲に絞った部分補修で対応できるケースもあります。

今回の現場では、次のような点を確認しながら修繕方法を検討しました。

修繕前に確認した主なポイント

認項目内容
漏水箇所どこから雨水が入っている可能性があるか
漏水箇所の高さと範囲足場が必要か、ブランコ作業で対応できるか
建物の築年数経年劣化の進み具合
建物構造や外壁の仕様補修方法や安全対策の検討
前回の大規模修繕時期どの程度の期間が経過しているか
オーナー様の修繕予算今すぐ可能な対応と将来の修繕計画の整理
今後の大規模修繕予定応急対応にするか、計画修繕につなげるか

室内の状況確認

雨漏りでふやけた冊子
雨漏りの影響で水損が生じ、資料が使用不能な状態に。
壁面に隠された雨漏りの跡
窓まわりの壁面に確認された雨漏りの跡。室内側の状況から原因箇所を探る。

こうした背景を踏まえ、管理会社・施工業者・オーナー様と状況を共有しながら、現在の建物に適した解決策を検討しました。

足場を組まずブランコ作業で外壁・シーリングを部分補修

雨水の侵入口である外壁目地とシーリング
雨水の侵入が疑われる外壁目地とシーリング部分。

検証した結果、今回の雨漏り補修は足場を組む大掛かりな工事ではなく、ブランコ作業による外壁部分補修とシーリング補修を行いました。

対象となったのは、雨漏りが起こった階の窓枠まわりです。
雨水の侵入が疑われる箇所を中心にシーリングの劣化部分を補修し、必要な範囲に絞って外壁部分の補修を実施しました。

今回の対応内容

項目内容
対象物件オフィスビル
対象箇所雨漏りが起こった階の窓枠まわり
工事内容外壁部分補修・シーリング補修
作業方法ブランコ作業
目的梅雨・台風シーズン前の雨漏り対策
特徴足場を組まず、必要な範囲に絞って対応
劣化したシーリング材を撤去
劣化したシーリング材を撤去。
新しいシーリング材を充填
マスキング後、新しいシーリング材を充填 。
シーリング補修後の外壁目地
シーリング補修後の外壁目地。必要な範囲に絞った部分補修で雨漏り対策を施工。

足場を組む場合は、工期や費用が大きくなりやすく、入居テナント様への影響も考慮する必要があります。
今回のように補修範囲が限定されている場合には、ブランコ作業による部分補修が選択肢となることがあります。

資材不足・職人不足でもできる方法

ブランコ作業で外壁を確認
足場を組まず、ブランコ作業で外壁を確認・補修。

昨今の中東情勢の影響により、ナフサ由来の変成シリコンなどの充填材が手配しづらい時期でした。
大規模修繕工事も資材不足などの影響で時期が見通しにくく、一旦は部分補修で対応する現場が増えています。

そのため、ブランコ作業に対応できる職人の需要も高まり、工事のスケジュールが不透明で先が見通せない状況です。

そうした中でも、
「梅雨・台風シーズン前に雨漏りだけは止めたい」
という現場の優先順位を明確にし、今できる最善の方法を検討しました。

賃貸管理会社の修繕対応では、理想的な工事だけでなく費用・時期・入居者様への影響・オーナー様のご事情を踏まえた現実的な判断が求められます。

応急修繕で終わらせず大規模修繕の検討へ

今回は雨漏りを止めるための部分補修でしたが、単なる応急修繕で終わらせなかったことも大きなポイントとなりました。

ブランコ作業を行った際、職人が確認できる範囲で、他の外壁部分の劣化状況も写真で記録し、その結果、今後の建物診断や大規模修繕の検討に役立つ情報を知ることができました。

オーナー様にとっても、雨漏りが起きるたびにその都度修繕を行うのではなく、建物全体の状態を把握したうえで、計画的に修繕を進めることの重要性を実感いただけました。

ブランコ作業で知ることが現状箇所

ブランコ作業時に確認した外壁の劣化状況
ブランコ作業時に確認した外壁の劣化状況。
シーリング補修後の窓枠まわり
シーリング補修後の窓枠まわり。

賃貸管理会社だからできる修繕提案

可能な範囲で建物の劣化状態を確認
部分補修を機に、可能な範囲で建物の劣化状態を確認する。

イチイでは、賃貸管理会社として入居者様やテナント様からの不具合連絡に対応するだけでなく、建物の状態やオーナー様のご事情を踏まえた修繕提案を行っています。目の前の不具合だけを見るのではなく、下記の内容を総合的に考えることです。

  • 今すぐ必要な対応
  • 将来的に必要になる修繕
  • オーナー様の費用負担
  • 入居者様・テナント様への影響

管理会社・施工業者・オーナー様が二人三脚で建物の状態を確認し、その時々に合った方法を選ぶ。
これが、賃貸管理会社である当社の修繕対応の強みです。

雨漏りや外壁の劣化は早めの確認が安心です

清掃前の屋上排水口付近
【清掃前の屋上排水口付近】清掃前/排水機能が低下し、水が溜まり階下への漏水を引き起こした
水の流れを確保
【清掃前の屋上排水口付近】清掃後/水の流れを確保し、建物の劣化や雨漏りリスクを抑える。

雨漏りは発生してから時間が経つほど、内装や建物内部への影響が広がる可能性があります。小さな雨染みや窓まわりの違和感でも早めに確認することで、補修範囲や費用を抑えることができます。

  • 大規模修繕までは考えていないけれど、雨漏りが気になる
  • 外壁やシーリングの劣化が心配
  • できるだけ現実的な方法で修繕したい

このようなお悩みがある場合は、まず建物の状態を確認し「今できる対応」「将来の修繕計画」を整理することが大事です。

当社PM事業部では、賃貸管理の現場で培った経験をもとに、オーナー様の大切な資産を守る修繕提案を行っています。無料で建物の外装の診断を実施しております。お気軽にお問い合わせください。