賃貸住宅管理業法では、サブリース契約などの不当な勧誘を防ぐため、勧誘者を広範囲に定義し規制を強化しています。本コラムでは、規制の詳細やオーナー様への影響について解説し、安全な賃貸経営のポイントをお伝えします。

サブリースのメリットを強調した場合、同時に契約リスクの説明が必須

研修生の田中君「先生!そもそも、なぜ〝勧誘者〟をそこまで規制するんですか?」

講師の太田「国交省が昨年行ったアンケートによると、サブリース物件のオーナーの6割が、建設業者や不動産業者など第三者のいわゆる「勧誘者」から勧誘を受けていたことが分かった。契約の当事者であるサブリース業者自身による勧誘は、1割にすぎなかったんだ。その結果、オーナーが契約のリスク等を理解できず、トラブルが多いことが背景にあると国交省は説明しているね」

田中君「分かりました。手元の「サブリース事業適正化ガイドライン」を見ると、“勧誘者”(罰則等の対象者)と“勧誘行為”の定義がこう書かれているんですね」

【勧誘者とは】サブリース業者と「特定の関係性を有する者」をいう。例えば、⑴サブリース業者から勧誘行為を委託された者 ⑵自社の親会社、子会社、関連会社であるサブリース業者と契約するよう勧める者 ⑶サブリース業者の資料を使い、契約内容や条件等を説明して勧誘する者 ⑷サブリース業者からの紹介料等で利益を得ている者 ⑸サブリース業者が自社の名刺を利用させている者(以上は例示)

【勧誘行為とは】オーナーが契約しようと考えるに至るまでの「意思の形成に影響を与える」くらいの勧め方をいう。例えば、契約は勧めなかったとしても、サブリースのメリットを強調してオーナーの意欲を高めさせた場合、“意思の形成に影響を与えた”ことになる

田中君「でも、法律はできたとしても、国は営業現場での違法行為を一つひとつ把握できるんですか?」


〈つづく〉