2021年の調査結果から犬の飼育頭数は710万6千頭、猫の飼育頭数は894万6千頭、犬・猫の推計飼育頭数全国合計は1,605万2千頭という結果になりました。

2013年から猫の飼育頭数はゆるやかに増加しており、減少傾向にある犬の飼育頭数を現在では上回っています。新型コロナウイルスの流行以降は、特に新規飼育者の数が増加していることがわかりました。

犬と猫の飼育率の推移

世界中で犬や猫は、人間との深い絆や癒しをもたらす存在として、長い間親しまれてきました。しかし、その飼育事情は国によって異なり、その変遷が興味深いものとなっています。今回は、特に日本における犬と猫の飼育に焦点を当て、飼育率とその傾向について考察してみました。

犬は減少傾向にある

世界的に見たら犬の飼育率の推移は、大きく変化することなく常に1番です。ですが日本では犬の飼育率は少しずつですが減少しています。飼っている世帯数の減少の他にも出生率の推移に関係しています。

最近では犬のブリーダーさんが減少している推移が見られます。動物愛護及び管理に関する法律が改正された事にも因りますが、本来は犬数を増やすことが猫に比べて難しいからです。またの超小型犬や小型犬の数を増やすとなっても、1つの個体から生まれる数は体が小さいので少ないです。

年代犬の飼育頭数(千頭)
2014年9,713
2015年9,438
2016年9,356
2017年8,920
2018年8,903

猫の飼育数は微増

犬の飼育数の推移は減少傾向に見られますが、猫はそんなことはありません。ペットショップでも犬が7~9割、猫は3~1割ほどの割合で見られます。猫は圧倒的に犬より売られる数は少ないですが、需要は高まっているのが現状です。

表では昔と比べてあまり飼育数の推移は変わっていません。ですがまだ犬の飼育数には届いていません。2021年にイヌネコ逆転が始まります。しなやかなルックスやのんびりしている生態から猫を好む方は増えてきています。

年代猫の飼育頭数(千頭)
2014年9,492
2015年9,277
2016年9,309
2017年9,526
2018年9,649

ペット非飼育者の飼育阻害理由と飼育きっかけ調査の結果

今後のペット飼育促進に向けて非飼育者のペット飼育を阻んでいる「阻害理由」と、ペット飼育者の「飼育理由」を調査したところ以下のようなことが分かりました。

ペットを阻害するその理由とは?

「阻害理由」としては犬1位・猫2位に「旅行など長期の外出がしづらくなる」、犬3位・猫1位には「集合住宅に住んでいて禁止されている」、犬2位・猫3位は「別れがつらい」という回答が上位になっています。

ペットの飼育理由は?

「飼育理由」は犬1位・猫2位が「生活に癒し、安らぎが欲しかったから」、犬2位・猫1位には「過去に飼育経験があり、また飼いたくなったから」が選ばれました。

ペットの平均寿命の調査結果

犬の平均寿命は14.65歳、猫の平均寿命は15.66歳という結果でした。それぞれ犬は2010年よりも1.30歳プラス、猫は0.78歳プラスと犬猫ともに平均寿命はのびているということがわかりました。

特に猫の寿命は家の外に出ない場合は平均16.22歳、家の外に出る場合だと平均13.75歳と外で過ごすかどうかで平均寿命に差が出ています。

ペット飼育者にとってのペットとは

ペット飼育者にとって生活に喜びを与えてくれる順を調査したところ、犬の飼育者は「家族」「ペット」の順、猫の飼育者は「ペット」「家族」の順で回答が多いという結果になりました。特に40~50代や単身者、未婚親同居者にその特徴が顕著に表れています。

今後ペット飼育する人は増えるのか?

例えば住宅でいえば、ペット飼育可の住宅が今後増加するかどうかは、住宅の所有者や管理会社の方針や市場の需要によって異なります。

一方で、ペットを飼うこと自体は一般的になってきており、飼育環境が整備されてきていることもあるのでペット飼育可の住宅の需要は高まっていると見ることができます。また、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増え、ペットを飼う人が増えたことも、ペット飼育可の住宅の需要につながっています。

しかしながら、ペット飼育に伴う問題やトラブルも発生しており、住宅所有者や管理会社はそのリスクを避けるため、ペット飼育を禁止する場合も出ております。そのため、ペット飼育可の住宅が増加するためには、飼育者側も責任ある飼育を行うことが求められます。

総じて言えることは、ペット飼育可の住宅は需要が高まっているため、今後増加する可能性があるということですが、その実現にはペット飼育者と住宅所有者・管理会社の双方が協力して、責任ある飼育とリスク回避策を日頃より配慮する必要があるということです。

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弓達 隆章
Yudate Takaaki

[株式会社アドバンスネット ペット共生型賃貸管理業エグゼクティブアドバイザー]愛媛県出身、法大院卒(経営管理修士)。34年間の損害保険会社勤務を経て2018年「共生社会におけるペット保険の現状と将来」を慶大保険学会で発表。日本と海外におけるペット共生文化の相違、今後の展望をまとめる。その後、大手賃貸管理会社にて保証ビジネス担当。2022年よりイチイグループにてエグゼクティブアドバイザー兼ライター。ペット共生型賃貸不動産オーナーのための経営情報、シニア向けペット共生のすすめ、自治体と協調したペット防災等の情報発信中。防火防災管理士、賃貸住宅経営管理士。 なおペットはずっとマルチーズ派。