老後の住まい 自分らしいスタイルで過ごすために

「老後はどこで、どんな住まいで暮らしていけばいいのかな」
そんな思いや不安が頭をよぎる人たちは少なくないと思います。

多くの方々からよく、こんなご質問をお受けします。

介護が必要になったら、老人ホームに入らなければならないですよね?

いえいえ、そんなことはございません。ひと昔前と違い、現在はさまざまな住まいや施設があるので、ご自身に合った住み替え先を選ぶことができます。

まさに今は「自分らしい老後の暮しが選択できる時代」となり、本当にいい環境が整ってきたと思います。
そのことはぜひ多くの皆さんに知っていただき、これからの住まい選びに失敗することなく、有意義なセカンドライフを送っていただきたいと願っています。

では、今号は以下3組のご相談者の具体的な事例を紹介します。

➊自分らしい老後の暮らし方が選択できる時代(都内在住 87歳女性)

都内の戸建てにひとりで暮らす女性のMさん(87歳)から、このようなご相談がありました。

要介護3の認定を受けてから、不安な毎日を送っています。
広すぎる家や庭などの管理はひとりでできませんし、外出するときは手押し車がないと歩けなくなりました。
道路のちょっとした段差もまたぐのが怖いです。できるだけ近くで、安心して暮らせる住まいはありませんか?

相談員は応えました。

都内には今、介護サービスの充実した高齢者向けの施設が数多く供給されていますので、心配なさらないでください。
まずは介護付有料老人ホームをご一緒に見学してみましょうか。自宅よりも安心・安全に過ごすことができますから。

ところが、介護付有料老人ホームの見学を終えると、Mさんはとてもガッカリした表情でした。何が不満だったのでしょうか。

➋引退後もお酒と麻雀のアクティブな日々(安心・安全を求める66歳男性)

自営業の仕事をリタイアしたばかりという男性のYさん(66歳)から、こんなお話がありました。

介護サービスが将来しっかりと受けられる、安心・安全の度合いが高いシニア向けの住宅を探しています。

まだ60代の若いYさんは介護どころか、病気もケガもまったくなく、お元気そのもの。外でお酒を飲んだり、仲間と麻雀をするのが楽しいと話していました。

そんなYさんには、自由に暮らせるアクティブシニア対象の高齢者向け賃貸住宅(館内で介護サービスの提供はない)をご案内したのですが、意に沿わない様子でした。

自由な暮らしはいらないんです。もっと安心・安全のサービスや体制がしっかりとした住まいはありませんか?

その理由を聞いたところ、Yさんの切実な思いがよく分かりました。

➌親が要介護になったら、住まいはどうすればいい?(58歳女性のご相談)

お父さまは妻に先立たれ、仙台市内の自宅で一人暮らし。娘のSさんは突然の仙台からの電話に驚かされました。

先ほどお父さまが散歩の途中、転んで大けがをして、病院へ搬送されました。骨折の治療でしばらく入院することになりそうです。

Sさんが東京から仙台まで大急ぎで駆けつけたことは言うまでもありません。幸い命に別状はなく、安堵しましたが、その後の経過についてはリハビリも順調。3ヶ月を経て無事に退院することができました。
そして、このときお父さまもSさんも「どうしたらいいだろう」と悩んだのがこれからの生活のことです。

今回のケガを機に“要介護1”の認定を受けたお父さま。

また同じように仙台で一人暮らしを続けるのか、それとも東京のSさんの自宅近くに転居するのか。

この二者択一で考え始めたのです。
しかし、介護が必要な状況下でどこに住めばいいのか、親と子の思いはすれ違うばかりでした。

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