2月に入り、確定申告の準備を進めている賃貸オーナは多いのではないでしょうか。

前編は、家賃収入に確定申告が必要な理由や不動産所得を算出する上で必要な経費、確定申告の手続きの流れなどについてご紹介しました。後編では、確定申告の手続きの流れや申告書の作成方法についてご紹介します。

確定申告の種類

確定申告には2種類あります。青色申告白色申告です。それぞれについて説明します。

青色申告とは

青色申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の取引を複式簿記という方法で記した帳簿を申告すること。メリットは節税につながる青色申告特別控除を活用できることです。青色申告特別控除を活用するためには複式簿記でなければなりません。

複式簿記とは、ある勘定について借方(かりかた)と貸方(かしかた)とを記録する記帳方法のこと。例えば、150円のノートを一冊買った場合、「現金が150円減った」「150円分のノート(事務用消耗品)を購入した」と書く必要があります。複式簿記に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付することに加え、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行い、事業規模※であることを満たすと青色申告特別控除最大65万円の適用が可能です。

また、翌年の節税ができる点も青色申告のメリットです。赤字が出た場合は、それを3年間繰り越せるため今年の赤字を翌年分としても計上することが可能です。賃貸オーナーの場合、修繕が必要な物件がたくさんある場合などには助かります。

なお、青色申告特別控除は不動産所得、事業所得のみに可能です。

※賃貸経営における事業規模とは以下のとおりです。
・マンションやアパートの場合、貸与できる戸数が概ね10戸以上あること
・独立家屋の場合、概ね5棟以上であること

青色申告の注意点

青色申告を行う場合、確定申告の計算期間の年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければいけません。新規開業の場合には、家賃を得た日から2か月以内、開業届は家賃を得た日から1か月以内に提出しましょう。

また、貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付しないと特別控除は10万円、所得が48万円以下の年も確定申告の義務があるので注意しましょう。

白色申告とは

青色申告の申請をしない場合には、白色申告となります。簡易簿記なので青色申告のように煩雑な作業をせずに手続きが済むため、まだ確定申告に慣れていない人や、賃貸経営が事業規模になっていない人は白色申告から始めると良いでしょう。

ただし、不動産所得や事業所得、山林所得のある人は、記帳や記録保存が必要です。記帳は取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて記載しても良いため、青色申告と比べると手間を省けます。白色申告の場合は、青色申告のような特別控除はありません。

白色申告の注意点

白色申告は、特別控除や赤字の繰り越しなどがありません。赤字を繰り越しができないと、赤字が続いて黒字に転じたり、赤字と黒字を繰り返したりしている場合は青色申告より税金が高くなる可能性もあります。

確定申告の必要書類

確定申告には以下のものが必要です。

本人確認書類マイナンバーカードや通知カード、個人番号が記載された住民票の写し等のマイナンバーが記載された本人確認書類。 ない場合は通知カードや個人番号が記載された住民票と運転免許証、健康保険証、パスポート、在留カードなどが必要。
印鑑認印で可。納税や還付金受取を口座振替で行う場合には、銀行印と口座番号が分かるものも必要。
申告書B (2023年からBの様式に統一)税務署や確定申告会場、市区町村の担当窓口や指導相談会場で受け取れます。国税庁のホームページでダウンロードすることも可能。
所得がわかるもの「確定申告書第一表」に収入と所得を記載するために、収入と所得が記載されている書類が必要です。賃貸経営の場合、青色申告決算書(青色申告の場合)もしくは収支内訳書(白色申告の場合)が必要。副業で賃貸経営を行っている場合は、勤務先等から受け取る源泉徴収票や支払調書の原本が必要です。
各所得控除、税額控除の証明書類所得控除であれば社会保険料控除や生命保険料控除、税額控除であれば住宅ローン控除などを受ける場合に、その証明書が必要。各控除によって必要な証明書は異なるため税務署や税理士などに確認を。

確定申告の流れ

ここでは、確定申告書を提出するまでの流れをお伝えします。流れは以下の通りです。

1、必要書類の用意と作成準備
事前に青色申告か白色申告にするかを決めてから、必要な書類を準備しましょう。

2、確定申告書の作成
準備した書類をもとに、確定申告書を作成します。書類の書き方が分からない場合は、税務署に行って税務署員のアドバイスを受けながら作成するのを良いでしょう。国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」というページを使うのもおすすめです。同ページの指示通りに必要事項を入力すれば税額・合計が自動計算されます。また、提出や印刷もできるので便利です。

 3、確定申告書類を提出
申告は紙とインターネット(e-Tax)のどちらでも行うことができます。紙の申告書は所轄税務署に行って直接提出または郵送が可能です。郵送の場合は消印の日付が提出日として扱われるので注意しましょう。

前述したように、青色申告はe-Taxを使うと最大65万円の所得控除を受けられる可能性があります。

まとめ

確定申告で重要なのは、自分の状況を踏まえた申告を行うことです。青色申告と白色申告は帳簿の作成方法や注意点が異なるので必ず確認しましょう。提出方法は紙とインターネットのどちらもあり、青色申告の場合はe-Taxでなければ最大65万円の控除となりませんので、そのあたりも確認してから申告してください。

この記事が皆様の参考になりましたなら幸いです。