ペットの高齢化が進みペット商材に変化

近年のペット飼育状況は、「室内飼育化」「小型犬化」「高齢化」「肥満化」がキーワードとなっています。ペットの高齢化が進むにつれて、飼い主のペットに対する健康管理意識が高まりつつあります。そのため、低価格帯商品が支持される一方で、味や栄養にこだわったフードや年齢に合わせたフードなど、単価の高い新製品が注目されるようになりました。ペット産業で最近よく聞くのが療法食という高齢ペット向けの専用商材です。

また、ペットの小型化と室内飼育率の上昇は、トイレシートなどの主に室内で使用するケア用品の需要拡大に寄与している。ペットケア用品市場でも、匂いの残らない猫砂やペットシャンプーなどの高付加価値化が進行し、販売額が拡大している。その中には、もともとペット専業ではない企業が、ペット業界に商機を見出して参入するケースも見受けられます。

区分企業
大手トイレタリーメーカー●ユニ・チャーム
●ライオン商事
●ジョンソントレーディング
専業メーカー●マルカン
●ドギーマンハヤシ
●常陸化工
その他メーカー
(本業で培った技術を活かしたペット専業参入など)
●アイリスオーヤマ
●シーズイシハラ
●コーチョー
●ヤマヒサ

日本のペットフード市場を解析

日本のペットフード市場は、市場シェア上位を外資系メーカーが占めている点が特徴となっています。市場を牽引するペットフード主体事業者には、国内系と外資系が混在しています。マースジャパンはP&Gのドッグフードブランド(アイムス、ユーカヌバ等)を買収し、ロイヤルカナン等も傘下におさめ、圧倒的なトップの座を誇っています。国内企業ではユニ・チャームが大手です。その他、日本ヒルズ、コルゲート、ネスレピュリナペットケア、いなばペットフードなども含まれ、上位企業によって約6割のシェアを占めています。

ペットケア用品主体事業者では、アイリスオーヤマ、ライオン商事、ヤマヒサ、ドギーマンハヤシなどが有力で、日用品メーカーの花王も有力プレイヤーの1つです。ペット関連卸事業者では、最大手のジャペルに次いで、エコートレーディングが主要企業の1つです。

ペットに対する飼い主の健康意識の高まり

マーケット全体では2017年度にドッグフードとキャットフードの市場構成比が逆転し、次点となったドッグフードは飼育頭数の減少を受けても金額ベースでの市場規模は横ばいで留まっています。一方で、飼い主の健康意識の高まりから、猫がかかりやすい下部尿路用のフードが多くの企業で展開され、さらにはスナック類も依然として拡大傾向にあります。フードメーカー各社はウェットタイプの猫用スナックも開発し、結果、キャットフードの需要は拡大しています。

ペット商材への参入に関しては、企業名から分かる通り、人に関する事業からの参入が多く見られます。 例えば、衛生用品大手のユニ・チャームは早くからペット産業に進出し、ペットフードメーカーとしての大手ブランドを確立しました。

現在では、フードだけでなく、ペットシーツやペットおむつでも有名なブランドを築いています。ペット事業セグメントの売上は2022年度には1000億円を超え、企業全体の売上の30%以上を占め、着実に成長しています。また、日清食品、はごろもフーズ、コルゲート、ライオン、花王、アイリスオーヤマなども食品製造業を中心にして参入し、シェア獲得を目指しています。

ペット保険

我が国においては、2008年の段階でペット保険加入率は1%強という状況でした。犬は庭で外飼い。猫に至っては出入り自由の状態でペットに保険を掛けること自体、冗談と捉えられる状況でしたが、コンパニオンアニマル化が進むにつれ加入率は年々増加しています。保険会社もパイオニアのアニコム損保、続くアイペット損保、現在では携帯キャリヤ系損保から少額短期保険まで数多くのペット保険会社が存在します。

弓達 隆章
Yudate Takaaki

[株式会社アドバンスネットペット 共生型賃貸管理業エグゼクティブアドバイザー]社会におけるペット保険の現状と将来」を慶大保険学会で発表。日本と海外におけるペット共生文化の相違、今後の展望をまとめる。その後、大手賃貸管理会社にて保証ビジネス担当。2022年よりイチイグループにてエグゼクティブアドバイザー兼ライター。ペット共生型賃貸不動産オーナーのための経営情報、シニア向けペット共生のすすめ、自治体と協調したペット防災等の情報発信中。上級救命士(東京消防庁)、防火防災管理士、賃貸不動産経営管理士。 なおペットはずっとマルチーズ派