「一人暮らしの高齢者が賃貸住宅の入居を断られる」という問題への懸念は古くからありますが、このところ不動産賃貸業界や国土交通省では「高齢者の入居をどう進めるか」というテーマをめぐり議論が活発になってきました。どんな解決策があるのでしょうか。
残置物処理など管理会社への期待が高まる
その解決策の一つとして検討されているのが「建物賃貸借契約と死後事務委任契約をセットにする契約方式」です。
入居者が亡くなると、部屋の賃借権と残された家財等(残置物)の所有権は相続人に引き継がれますが、相続人が誰でどこにいるのかが分からない場合もあります。
そんなときは、賃貸借契約の解除や残置物の処理などができなくなってしまうことが問題です。これを解決しなければ、次の入居者を募集することもできません。
管理会社が受任者へ
前述の死後事務委任契約は、入居者が亡くなった後のこうした手続きを事前に決めておいた人(受任者)が本人に代わって行うというものです。
この契約で定めておく「受任者」は、誰がふさわしいのでしょうか。まず、賃貸借契約の一方の当事者である「貸主」は借主と利害が反するため、契約解除等のできる受任者にはなり得ないとされています。
そこで今、適切な受任者として有力視されているのが「賃貸住宅管理会社」です。管理会社が受任者となる場合、次のメリットがある一方で、懸念される事項もあります。
空室期間が減らせる
【管理会社が受任者になる利点】
限られる受任者権限
【管理会社が受任者になる懸念】
事故の早期発見対策
このような死後事務委任契約と合わせて、入居中の対策も欠かせません。火災や孤独死などの早期発見のためには、見守りサービスや防災設備の導入が効果的です。
また、認知症などへの対処については、管理会社が地域包括支援センターや社会福祉協議会等の専門機関と連携すれば、入居者の「安心・安全」をサポートできます。
以上見てきましたように、高齢者の入居が敬遠される原因を払拭するためには、入居者に対するリスク管理やサービス提供などが何よりも有効であると私たちは考えています。
イチイグループでは、オーナー様が高齢の入居者を安心して受け入れられるよう、さまざまな仕組みと実務ノウハウを積み上げていきたいと思います。
高齢者向け住宅事業の道しるべ
さらに詳しい内容は、以下の【イチイの高齢者向け住宅事業の道しるべ/法的考察リポート 「死後事務委任契約について」】をご一読ください。
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