近年、ペットを家族として迎える世帯が増え、それに伴いペット用品の市場規模も拡大しています。特に、商品販売額の動向が品目ごとにわかりやすいホームセンターでは販売額が増加傾向にあります。
このトレンドは「ペット可物件」の魅力を高めるヒントとなるかもしれません。空室対策としてペット共生型の賃貸経営を検討してみてはいかがでしょうか?
2020年以降も増加し続けるペットとペット用品
特に新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には増加額が大きく、前年比8.2%増となりました。四半期ごとの動向を見ると、緊急事態宣言が初めて発令された2020年第Ⅱ四半期に前年同期比8.2%増、第Ⅳ四半期には同13.8%増と大幅に増加しています。ペット・ペット用品はコロナ禍においても飲食料品小売業などと同様に販売額が増加した業種の一つでした。2020年以降は8期連続で増加しています。
室内飼育が増加したことで起きた変化
近年小型ペットの人気が上昇していることや、室内飼育が増加していることなどの影響で、ペットフードの出荷総量と大型犬向けの需要が減少しています。一方、小型志向の影響を受けない猫は、長期的に飼育頭数が安定しており、キャットフードの需要も安定し、足元では微増となっています。
また近年では、犬種・猫種別にフードが発売されており、ユーザーに一定の支持を得ていることから、家族化に伴い個別化と多様化が進んでいます。 このようにペット関連産業はコロナ禍でも堅調な動きがうかがえますが、加えて、ペットの通院、手術、傷害に対応したペット保険、ペット葬儀、一時的にペットを預かる宿泊施設であるペットホテルなど多様なサービスも展開されており、ペット関連産業はさらにその裾野が拡大することが期待されます。
今後も単身世帯の増加や、世帯人数の減少により生活のなかでペットの存在が重要な位置を占め、家族同様の存在となる傾向が一段と強まるものと思われます。
そのようなペット産業ですが、中でもペットフード、ペットホテル、ペット保険、ペット医療ビジネスは今後も成長が期待されます。
ペットフード分野は老舗が多くそれらの存在感が大きい中売り上げは順調に伸びております。一方でペットホテルやしつけ教室などの新たなサービスが急成長しています。医療関係はアニコムホールディングス以外にも、動物病院やトリマーなど多種多様な企業が台頭してきています。ただし、ペット関連の専門企業で上場している会社は未だ少なく、現在はペット用品専門商社の「エコートレーディング」や、高度医療が専門の「日本動物高度医療センター」などしかありませんが、今後は増加してくる見込みです。
今後のペットビジネスにおいてキーワードとなるのは「高齢化」です。ペットの寿命が延びる中、ペットフードメーカー各社は高齢のペット用の製品を新たに開発・販売しています。高齢のペットを介護する施設やサービスも提供されており、ペットの高齢化によってペット産業市場全体が拡大することが期待されます。
一般社団法人ペットフード協会の『犬猫飼育実態調査』によれば、2020年の犬の平均寿命は14.48歳、猫の平均寿命は15.45歳でした。10年前の平均寿命は犬が13.9歳、猫が14.4歳であったため、この10年間で犬は0.58歳、猫は1.05歳寿命が延びています。成犬や成猫は1年で人間の4歳分の年齢を重ねるとされています。したがって、犬や猫にとっては1歳寿命が延びるだけでも、大きく寿命が延びているということになるのです。
こうしたペットの高齢化によって、さらにペット産業の市場が拡大することが見込まれます。例えば、ペットフードメーカー各社は高齢のペット用の製品を新たに開発・販売しています。高齢のペットにも食べやすいようにゼリー状に加工したり、不足しがちな栄養素を補うなど、ペットの健康を気遣う飼い主のニーズに応えようとしています。また、高齢のペットを介護する施設やサービスも提供されています。イオンのペット用品子会社は、イオンモールに犬専用の介護施設を開業。獣医師が24時間体制で待機しており、利用料は月額10万円からとなっています。環境省によれば、動物を一時的に預かって面倒をみる保管業者は首都圏で大幅に増えているとの事です。
また、ペット健康関連サービスも成長しています。ペットの健康をWEBとITを絡めて管理するサービスやWEBカメラを利用してペットの様子やセキュリティを確認できるクラウドサービス・・・都市部においては広い駐車場を確保してWEBから予約がいつでもできるペット病院、いわゆる「ペットテック」と言われる新しいサービスは年々成長を続けております。農林水産省の統計を見ると、ペット用動物病院の数は2019年で12,116施設となっており、この15年間でおよそ3,000弱も増えています。
ペットフード分野においては、年々飼育者のプレミアム(高付加価値商品)指向が強まる傾向が見られます。外出自粛により旅行や外食への支出が減少し、その影響でペットに高品質なフードを提供したいと考える飼育者が増加しています。また、メーカー各社の啓蒙活動により、ペットがかかりやすい疾病に対する飼い主の意識が高まっています。
これらの要因から、ペット関連総市場全体は2022年度以降も拡大傾向を予測します。特にペットフード分野では、飼育者のニーズの変化が市場に影響を与え、成長が期待されます。
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[株式会社アドバンスネット ペット共生型賃貸管理業エグゼクティブアドバイザー]愛媛県出身、法大院卒(経営管理修士)。34年間の損害保険会社勤務を経て2018年「共生社会におけるペット保険の現状と将来」を慶大保険学会で発表。日本と海外におけるペット共生文化の相違、今後の展望をまとめる。その後、大手賃貸管理会社にて保証ビジネス担当。2022年よりイチイグループにてエグゼクティブアドバイザー兼ライター。ペット共生型賃貸不動産オーナーのための経営情報、シニア向けペット共生のすすめ、自治体と協調したペット防災等の情報発信中。防火防災管理士、賃貸住宅経営管理士。 なおペットはずっとマルチーズ派。