ペット関連の事業領域は裾野が広がり、近年多くの新しいサービスが登場しています。必需品であるペットフードやペット用品に加えて、嗜好品として位置づけられるサービスが増えているのが特徴です。以前は犬と猫を対象としたフード市場がほとんどであり、それ以外にもペット用品、生体販売、ペット保険などの産業が存在していました。

ペットの高齢化

2020年において、飼育頭数は犬が848万匹に対して猫が964万匹となり、猫が犬を上回りました。この変化により、猫に特有の健康フードや用品の需要が増加しています。

また、ペットの高齢化が進んでおり、平均寿命は犬が14.4歳、猫が15.4歳と毎年伸びています。このような状況下でのペット関連の個人支出額は、2020年において犬が1ヶ月あたり13,175円(前年比4.6%増)、猫が8,289円(前年比4.1%増)と、前年比で大幅に増加しました。高齢化に伴うサプリメントや医療費の増加が一因と考えられます。

ペット保険とペットフードの需要増加

市場が好調な背景には、コロナ禍による巣ごもり需要だけでなく、ペットを家族の一員として大切にする意識が高まり、ペット保険や健康志向のペットフードへの需要が増加していることが挙げられます。

ペット産業のニュービジネス(例)
犬専用フィットネスクラブ犬の体力や体調、性格などに合わせてプログラムを作り、ドッグランナーやバランスボールといったエルペロが独自で開発した機具も用意されている。
犬の世話をする人のマッチングサービス旅行や外出先などで愛犬の世話ができない飼い主とその犬、及びその間に世話をする人(ホスト)を想定している。
「お客様はペット」のタクシーサービスWebサイトから事前に必要な情報を登録することで、犬・猫・小動物などと快適に乗車できるサービス。ペットだけの乗車も可能。
保護犬猫と新たな飼い主のマッチングサービス保護犬猫と新たな飼い主をつなぐマッチングサービス
獣医師とメーカーのためのメディア獣医師同士が情報交換できる場を提供するとともに、メーカーが獣医師に対して情報提供できる場を用意している。人医療と同様に、toCからアプローチのしづらい医療費問題をtoB側から解決することを目指している。
猫の健康管理ができるIOTトイレ「toletta」スマートトイレによって健康データ管理と獣医師による健康サポートがセットになったサブスクリプションサービス。

また、下記の図のように、ペットの嗜好品やサービスへの市場が拡大しています。

(参考:アイペット損害保険 ipet)

弓達 隆章
Yudate Takaaki

[株式会社アドバンスネット ペット共生型賃貸管理業エグゼクティブアドバイザー]社会におけるペット保険の現状と将来」を慶大保険学会で発表。日本と海外におけるペット共生文化の相違、今後の展望をまとめる。その後、大手賃貸管理会社にて保証ビジネス担当。2022年よりイチイグループにてエグゼクティブアドバイザー兼ライター。ペット共生型賃貸不動産オーナーのための経営情報、シニア向けペット共生のすすめ、自治体と協調したペット防災等の情報発信中。上級救命士(東京消防庁)、防火防災管理士、賃貸不動産経営管理士。 なおペットはずっとマルチーズ派。