〈前回よりつづく〉
【トラブル 空室/第61話】人の死の告知に関するガイドライン

孤独死が不安な単身高齢者も入居可能に?

請負人「国交省の「人の死の告知に関するガイドライン」ではまず第一に、人の死に関する事案が、取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合、告知しなければならないとの原則を示しました。

そして『告げなくてもよい場合』として、次の3項目を挙げています(以下は国交省の原文に追加・要約した文言あり)」

Ⅰ告げなくてもよい場合
  1. 死因について【賃貸借・売買取引】自然死(病死等)、日常生活での不慮の死(転倒事故等)
  2. 時間の経過について【賃貸借】専有部または集合住宅の共用部(通常使用する部分のみ)で自殺・他殺等が発生、または特殊清掃等が行われた自然死等が発覚してからおおむね3年間が経過した後
  3. 場所について【賃貸借・売買】隣接する住戸、または通常使用しない集合住宅の共用部で発生した自殺・他殺等と特殊清掃等が行われた自然死等
Ⅱ留意点
  • 「告げなくてもよい」とした上記1~3の場合でも、事件性・周知性・社会に与えた影響等が高い事案は告げる必要がある。
  • 告げる場合は事案の発生時期、場所、死因および特殊清掃等が行われた場合はその旨を告げること。

孤独死による貸主・業者の負担軽減へ

今回のガイドラインの策定に対し、不動産業界では一定の基準が示されたことを歓迎しています。「これからは安心して仲介ができる」「告げなくてもよいという事例が分かったので、貸主や宅建業者は負担が軽減されるのではないか」といった声が聞かれました。

孤独死についてもこうした説明義務をめぐる不安が解消されれば、単身高齢者等の入居を拒む事案は次第に少なくなっていくのではないでしょうか。

これからはオーナーと入居者、管理会社の孤独死等への認識が一致し、トラブル減少や適切な入居審査等につながっていくことを期待したいと思います。