【1分小話】つぶやく「イチイのトラブル請負人
「失敗しない賃貸経営の極意。経営力、サブリース、相続などを極める」大家さん応援物語をコラムでお送りします。

新築の供給増で空室のリスク

昨年(2021年)は都心のワンルームがコロナ禍の影響を受けてどうにも低調でした。

都心の大家さん「近くのワンルームは、なぜ家賃が下がっているのかね?」
請負人「オーナー様、昨今の市況についてご報告します。」

首都圏の賃貸住宅市場の傾向

首都圏の賃貸住宅市場はこのところ、賃貸契約の「成約件数」が減少傾向にあります。そのため、入居者募集中の空室物件(いわゆる在庫)が増えてきたのが実状です。

昨年9月の成約件数は4ヶ月連続で前年を下回っています(前年比-10%)。その結果、空室物件(在庫)の件数が15ヶ月連続で前年を上回りました(前年比+36%)。

このように市況が下り坂のためか、「賃料」については上昇率がまだら模様になっています。

在庫件数前年比推移(首都圏)

(出典:(公社)東日本不動産流通機構「レインズシステム利用実績報告」)

賃料下落の23区、どうなる貸家着工増

その一方で、貸家の着工(新築)戸数は7カ月連続で前年比増になっているのが現状です。それだけに、東京23区のワンルームのように人が戻っていないところは、需給のバランスが崩れるかもしれません(供給が需要を上回る)。募集賃料の引き下げや空室率の上昇など、これから少しずつ影響が出てきそうです。

そんな都心の賃貸住宅市場はこれまでコロナ禍により、中小企業等の給与減少といったマイナスの影響を受けてきました。
今後はさらに新築の供給増加などの影響もありますので、一段と注意が必要ではないでしょうか。

貸家着工戸数前年比推移(全国)
出典:国交省「建築着工統計」(全国統計)

※この記事は(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 不動産総合研究所が取りまとめた「不動産市場動向データ集(21年10月版)」の解説とグラフを引用しました。

〈つづく〉