本稿は、イチイPM事業部の実務責任者・野上が書き留めた、これまで経験してきた現場のさまざまな事例について連載でお届けしています。
オフィスの空気はキレイですか？賃貸管理会社は見えないところも見ています
今回はオフィスのエアコンの汚れについてお話ししたいと思います。
（※本記事には汚れたエアコンの写真が掲載されます。）
弊社が管理する小規模なオフィスビルにお客様が入居されてから早くも1120日。
こちらのビルではお客様が退去された後に、貸主指定業者にて、原状回復工事やハウスクリーニングを行っております。
退去後のエアコンはどのくらい汚れているのでしょうか？
オフィスに設置されているハウジングエアコンの汚れ具合。
オフィスワーカーの方にとっては他人事ではないですよね。
エアコンの内部洗浄となると原則、プロの掃除が必要になってきます。
持ち家のエアコンの場合は、ご自身でDIYでやられる方もいますが、お住まいが賃貸でエアコンが貸主所有の場合、故障させるリスクがあるので業者に依頼する方が安全です。
指定業者がある場合もありますので、管理会社やオーナーに事前に相談するのが安心です。
手前みそですが、弊社にはそうじ専門の事業部があります！
イチイグループ｜不動産仲介・運用・管理 エアコンが汚れてくると、エアコンの効きが悪くなったり、カビ臭くなるなど、いろいろ気になってきます。フィルターを見るとホコリが溜まっていたりするので、まずはフィルター清掃をしますね。ここまでは通常、素人でもできる清掃の範囲です。
溜まったホコリはカビのエサになる
問題はこの先です。
ファン（中でくるくる回って風を送り出す）やフィン（熱交換器、アルミ製の薄い板の集合体）の汚れも気になってきます。
エアコン室内機はどうしても構造上、ホコリやカビを吸い込むし、空気を冷やせば空気中の水分が結露してエアコン内部のドレンパンに溜まります。
〈よくエアコン室外機のそばのホースから水（ドレン水）が出ていますね〉
ドレンパン洗浄 before
ドレンパン洗浄 after
溜まったホコリはカビのエサになり、湿度・気温の高い季節はカビが増殖しやすいです。写真の茶色の部分が水カビが生えていた部分です。
ご自宅の場合ですと、自分が当事者なのでご自身で問題解決に当たると思います。
問題になるのは賃貸オフィスの場合です。
放置されやすいオフィスのエアコン
エアコンの内部洗浄を貸主側、借主側のどちらで行うかはオフィスの規模やグレードなどによってまちまちです。全館空調だったり、貸主業者による清掃がある場合は問題にならないでしょう。
今回の事例は10坪ほどの小規模オフィス。
エアコンの内部洗浄は借主負担で行うことが契約書の特約に明記されています。
空調はそのオフィスで働く人全員に関係があることですが、エアコンからニオイがしてきたり、結露水が漏れてきたりしない限りエアコンの汚れにまで気付きませんし、見た目がキレイだと内部の汚れまで気に留めないので、目が行き届かず放置されがちです。
そして、小規模オフィスでよく利用される天井埋込型のハウジングエアコンだと自宅のエアコンと形状も違ったりして、フィルターの清掃方法すら分からないという方も多いです。
何となく面倒くさいし、社内の誰にエアコン内部洗浄のことを話せばよいのか分からない。
当事者意識が薄れてしまうため、自宅のエアコンよりオフィスのエアコンの汚れが放置されやすい要因だと思います。
契約時にエアコン清掃の説明をしても、問題が起こるまで忘れられてしまいます。今回の事例のオフィスはIT系のお仕事で、10坪ほどの広さの中に3～4名で利用されていました。
コロナ禍の影響からか、リモートワークも多く不在がちでした。
内部洗浄までは行っていないビルもある
退去された後は、原状回復工事とハウスクリーニングを発注しました。
目立った汚れは無かったので、いつも通りの発注内容と施工期間です。
たまたま近くの現場だったので職人さんにご挨拶がてら現場訪問すると、ちょうどエアコン内部洗浄の施工中でした。
エアコン内部の熱交換器で空気が冷やされる際に出る結露水は、一旦ドレンパンに溜まり、ドレンポンプでドレン管を通じて外に排出されます。
そのドレンパンは水カビやホコリで汚れた状態でした。
これ以上進行するとドレンポンプが作動しなくなり、センサーが働くとエアコンの運転が止まります。
フィン（アルミ製の熱交換器）は一見キレイに見えますが内部は汚れていたようで、バケツには黒い水が溜まりました。これでは働く人の健康にも良くないです。
貸主負担で定期清掃を入れているビルがありますが、フィルター清掃のみで内部洗浄までは行っていないビルもあります。「いちばん大切なことは目に見えない」とは、きつねが星の王子様に言った名言ですが、たまには目に見えないオフィスの空気を気にして欲しいと思った次第です。
このコラムを読まれて、弊社のサポートを受けたいとお考えの方、ご相談をご希望の方はどうぞお気軽にお問い合わせください。
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