新型コロナウイルスに感染した場合、次の入居者にその事実を知らせるべきかどうかという問題が浮上します。感染拡大を防ぐための倫理的義務とプライバシー保護のバランスをどう取るべきか、多くの人々が悩むテーマです。

オーナーが考える 入居者のコロナ感染

このコラムでは、感染の告知の必要性やその影響、法律的な側面を考慮し、適切な対応方法について探ります。安全な住環境を維持するために、私たち一人ひとりがどのような行動を取るべきかについて考察します。

入居者がコロナ感染になったら考えるべきこと

Q
感染した入居者が退去しました。宅建業者は次の入居者に重要事項説明を行うとき、いわゆる心理的瑕疵として、前の入居者の感染事実について告知する義務はあるのでしょうか。
A

次の入居者への告知義務は生じないものと考えられます。というのも、厚生労働省の事業者向けの通知によりますと、ホテル・旅館等で宿泊者が感染した場合ですが、次の宿泊者への告知については記述がありません。但し、この厚労省通知が指定する方法に従って、適切に物件の消毒を行うことが必要です。

Q
それでも、新たに感染者が出てしまった場合はどうすればいいですか。
A

前述した物件の消毒だけでは感染症を防ぎきれないという事情が発生した場合は、次の入居者への告知義務が生じる可能性があります。

Q
感染した入居者が退去した後、次の入居者も感染してしまいました。どうやら退去後のハウスクリーニングで、アルコール消毒を怠っていたようです。この場合、貸主や管理会社に責任はありますか。
A

今回適切な消毒を行わなかったことと、感染症への罹患(りかん)との間に因果関係が認められれば、貸主や管理会社に責任が生じる可能性があると思います。

編集部より

今後は厚労省・国交省の通知や業界団体の指針などが新たに出された場合、今回の回答についても変更されることがあると思われます。