広い間取りほどニーズ高まり、家賃相場が上昇

ご承知のように今、3年にも及んだコロナ対策の行動制限が解除され、社会経済活動もようやく正常化しました。長く足踏みしていた賃貸住宅市場も、これからは大きく好転することが期待されます。

最初に家賃相場についてですが、これまでのコロナ禍においてはどう推移していたのでしょうか。

コロナ禍の首都圏 平均家賃水準

首都圏を見てみますと、昨年の2022年1月~3月期の平均的な家賃水準はコロナ禍前の20年より上昇していました(但し、東京都心のシングルタイプは低調)。

その上昇した家賃の額ですが、東京都の場合はカップルタイプ(1LDK~2LDK)で2千~3千円ほど、ファミリータイプ(3LDK~)で6千~1万円ほどアップ。
広い間取りの物件ほど需要が多く(理由は後述)、上昇率は高くなる傾向にありました。

コロナ禍前と比較 反響のあった物件の平均家賃上昇率

コロナ禍の平均家賃率

〈表1「株式会社リクルート調査・SUUMO掲載物件より集計」参照〉

都心のシングルタイプは苦境

このように昨年は全体としては上昇トレンドでしたが、唯一不調だったのが東京都心部のシングルタイプ(1R~1DK)です。東京だけでなく、関西の都心部でも同様の傾向が見られました。

不調の原因としては、シングルタイプの3大需要(ユーザー)である学生と法人、外国人の入居者が減少したことと、コロナ禍で住み替えニーズが変化したことの2つが挙げられます。

郊外への住み替えブーム起こる

その2つ目の住み替えニーズはどう変わったのでしょうか。

2020年(コロナ禍)以降の新たなニーズは在宅勤務などの普及により、部屋の数や広いリビング、収納スペース等(広い間取り)を求める傾向が強まりました。

とはいえ、専有部の広さを優先すると賃料が上がってしまいますから、ユーザーは通勤利便性や駅徒歩圏内といった希望条件をあきらめ、より郊外の方へ住み替える動きも目立ったのです。

では、次回はこれからの市場の見通しについて考えてみます。

<つづく>