(前回よりつづく)
第36話 なぜコロナ禍の昨年は、都心の単身者用だけ不調だったの?

少子化じわじわ、学生客は将来楽観できず

今回は、賃貸住宅市場のこれからの見通しについて考えてみたいと思います。

まずは外国人の賃貸需要ですが、いま増加傾向にあります。
その一方で、学生さんに関してはまだまだ楽観はできません。

最大の課題、止まらない少子化

現在、多くの大学が22年度より対面授業に戻ったため、通学の便利なところに住みたいという学生さんの需要は回復しています。

しかし、もっと大きな問題は少子化がじわじわと影響を及ぼしていることでしょう。
学生の絶対数そのものが少なくなっているからです。

なにしろ、今年19歳になる若者(04年生れ)は、コロナ禍より前の若者(01年生れ)と比べて5%以上も少なくなっています(厚生労働省「人口動態統計」)。

日本の少子化の進み具合を考えると、学生や新社会人の賃貸需要がコロナ禍以前の水準に戻ることは難しいのではないでしょうか。

脱炭素へZEH住宅が普及

次なる注目点は、入居者が求める設備やサービスに変化が見られることです。

一つは省エネと断熱、創エネの最新設備によって脱炭素をめざす住宅「ZEH(ゼッチ)」が普及してきたことは見逃せません。

ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、太陽光発電などの自然エネルギーを利用して家庭のエネルギー収支を(プラスマイナスで)ゼロ以下にする住宅のことをいいます。

ZEHとは?

省エネや断熱などの効果として光熱費を抑えられるところが、入居者の大きなメリットです。

光熱費が上昇、ユーザーは動く?!

そして、2025年からは新築の賃貸住宅において、省エネルギー基準を満たすことが義務化されます。

この省エネ基準を満たした新築が増えていけば、おのずと基準を満たしていない既築の住宅が不利になっていくのではないでしょうか。

◇              ◇

ご承知のように、これからは家庭の電気料金が大幅に上がりますので、生活を守るために節電(省エネ)を始める人たちが増えそうです。

そんな電気代をはじめ光熱費の上昇を気にする消費者の意識は無視できません。まもなく、省エネ(節電)が「住まいのトレンド」になると思います。

私たちは新築でも既築の住宅でも、もっと積極的に「省エネ対策」を進めていかなければならないと考えています。

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