放置自転車を長らく手をつけずにいると・・・
今回は放置自転車についてのエピソードです。先日、オーナー様からのご相談にこうお答えしました。
「管理のお問い合わせありがとうございました。ひと通り、物件を拝見させていただきました。
事前に聞いてはいましたが、見てビックリしました。何故こんなになるまで自転車を放置してしまったんですか?」
「この建物は敷地が広いから、私が自分で敷地の片隅にが放置自転車をまとめておいたのです。放置した人が悪いのに、警察も動いてくれないし、撤去費用もオーナー負担だし。ズルズルしているうちに、さらに放置されやすくなってしまったのかな・・」
駐輪場が足りない!入居希望者もガッカリ
近年は自治体によっては駐輪場附置義務などの条例が制定されていたりしますが、まだまだ駐輪場が足りていない建物が多いのが現状です。
また賃貸物件は収益物件ですので、貸せる面積をできるだけ増やそうとします。自転車置き場のような稼げない部分をギリギリまで削るプランになりやすいです。
自転車を利用したい入居希望者から、
「内装は気に入ってます。でもよく考えると、自転車使えないのは不便なので申込みはやめます・・・」
と、駐輪場が足りていないことを理由に申込みを断られてしまうことがあります。
このように駐輪できないせいで機会損失になってしまうのでは本末転倒です。
また放置自転車のせいで駐輪できないのは論外です。
荒れた景観になるのも集客にはよくありません。
さらに窓先空地や避難経路が格好の放置場所になっていたりするので、防犯や防災のことを考えても放置自転車はマイナス要素でしかありません。
真面目な入居者には迷惑!無断駐輪に辟易
収容能力以上になってしまっている物件を見ると、明らかに使用していない自転車や近隣の施設利用者のものと思われる自転車があったりします。
放置自転車になる理由は大きく分けて以下の3つです。
- 退去時に引っ越し先に持って行かず残置されてしまう
- 入居時に自転車を持ってきたものの環境が変わり利用しなくなった車両の放置
- 外部の人間による無断駐輪
素行の悪い入居者が多いのか、立地のせいなのか、いたちごっこでキリがない現場は手間暇が掛かります。
収容台数を改善するために、登録制にして、シールを交付したり、駐輪場代を徴収したりと様々な労力を掛けますが、外部の人が原因の場合は改善不能です。
真面目な入居者さんの負担が増えて、悪質な人間がタダ乗りするという不条理な状況に辟易することもあります。
ちなみに敷地外の公道に放置されている場合、自治体や警察が動いてくれます。
新宿区の場合は自転車対策係コールセンターへ問い合わせましょう。
窓口に連絡すると調査札を取付けにきて、早いと1週間くらいで撤去してもらえます
やりがいがある!? パンクした自転車が44台も!
先述の建物の管理を受託することになりました。真っ先に改善した方がよい部分は、やはり問題の駐輪場です。避難経路に停めてあるパンクした自転車だけで44台。ナンバープレートの付いていないビッグスクーターや原付が計3台。
かなりやりがいがありそうです。まずは入居者の協力を得て、一斉に放置自転車を整理することにします。そして、調査札を取付け、所有者に外してもらう手順で撤去します。
放置自転車撤去までのステップ
1 | お知らせを掲示、投函 | 放置自転車の調査期間、保管期間、撤去日を記載したお知らせを掲示、投函します。放置自転車でない場合は、取り付けてある調査札を取り外すよう所有者に案内します。 注意が必要なのは学生寮など長期不在が想定される場合です。実家から戻ってきたら自転車が無かった!とトラブルにならないよう、それぞれの期間を長めに設定するなど余裕を持ちましょう。 |
2 | 調査期間中に調査札を自転車に取り付け | 物件規模や駐輪台数、登録制度の有無、その他事情を考慮し、柔軟に対応します。登録制でない場合は、全台数に取り付けることもあります。また一部のあやしい車両のみに取り付けたりすることもあります。ケースバイケースで行うのがよいでしょう。 基本的にはパンクしたままだったり、長期間放置されて錆びているなど、明らかに利用されていない状態のものを中心に進めることが多いでしょうか。というのも、真面目な入居者からすると、調査札を取り外すのは煩雑だからです。管理会社が変わって、管理簿と実態にズレがありそうな場合、見極めが難しくなります。 「(古い自転車でもう乗っていないが)お金を払って登録もしてシールも貼っているのに調査札を付けられた」とクレームになる場合もあるからです。 |
3 | 調査期間経過後、調査札が付いたままの車両を保管 | 物件規模や駐輪台数、登録制度の有無、その他事情を考慮し、柔軟に対応します。登録制でない場合は、全台数に取り付けることもあります。また一部のあやしい車両のみに取り付けたりすることもあります。ケースバイケースで行うのがよいでしょう。 基本的にはパンクしたままだったり、長期間放置されて錆びているなど、明らかに利用されていない状態のものを中心に進めることが多いでしょうか。 というのも、真面目な入居者からすると、調査札を取り外すのは煩雑だからです。管理会社が変わって、管理簿と実態にズレがありそうな場合、見極めが難しくなります。「(古い自転車でもう乗っていないが)お金を払って登録もしてシールも貼っているのに調査札を付けられた」とクレームになる場合もあるからです。 |
4 | 保管車両の撮影 | 車両全体、状態、防犯登録番号の有無、車体番号などが分かるように撮影します。この記録が後のトラブル発生の際に役立ちます。 |
5 | 盗難車両の確認 | 防犯登録がされている場合、警察に相談しましょう。所有者の照会を行ってくれます。盗難届が出ている場合には、警察から所有者へ引き渡してくれることもあります。 |
6 | 車両の返却 | 持ち主が現れたら返却します。その際、本人確認をしましょう。悪質な場合は、誓約書を求め再発防止に努めます。 |
7 | 保管車両を処分 | 日頃、処分業者と付き合いが無い場合、業者の選定が肝要です。業者選定は撤去の話が出た段階で選定した方が慌てません。業者の繁忙期や搬出車両の確保などで、予定が合わないことがあるからです。また、必要な車両を捨てられてしまわないよう注意が必要です。 |
このような手順で放置自転車を撤去した結果、入居者などからクレームがあったのかどうか、次回ご報告します。
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本稿は、イチイPM事業部の実務責任者・野上が書き留めた、これまで経験してきた現場のさまざまな事例について連載でお届けしています。
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