コロナ禍でのネットショッピング拡大によって非対面受け取りの需要が高まり、宅配ボックスは賃貸住宅に欠かせない人気設備となりました。人気を集めていると言われていますが、実際に宅配ボックスを設置している物件は、設置していない物件と比べて入居率が高いのでしょうか。

(株)LIFULLは、同社が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」で「宅配ボックスあり」物件の市況を調査しました。

宅配ボックス「物流2024年問題解決」の置き配ポイントで需要高まる?

政府は2023年10月6日、物流業界の人手不足への緊急対策として、「置き配」にポイントを与えることを発表しました。しかし、マンションなどオートロックのある場所では不在時の置き配指定が難しく、こうした状況で注目を集めているのが「宅配ボックスあり」物件です。

国土交通省の「令和4年度宅配便・メール便取扱実績について」によると、2022年度の宅配便取扱個数は50億588万個、前年比で5265万個も増加。増加率は約1.1%で、ECサイトの宅配荷物が主な増加要因と考えられています。

また、2024年4月からのドライバーの時間外労働制限により人手不足が深刻化する懸念もあります。そこで政府は「物流革新緊急パッケージ」において置き配を選択する利用者に対してポイントを付与する新たな制度を導入、これにより再配達の削減を促進し、効率的な物流を推進する事業者への経費支援も行うとして進められています。

「宅配ボックス」の普及はいかに? 直近1年の賃貸マンション/アパートシェア率について

直近1年のシェア率

1都3県の賃貸マンション/アパートの中で「宅配ボックスあり」の物件割合を月毎に調査したところ、2023年3月以降緩やかに増加し、2023年9月には直近一年で41.1%と最も高いシェア率を記録しました。企業の出社回帰も相まって、現在も引き続き普及が進んでいることが見受けられます。

「宅配ボックス」を物件の必須条件にしている割合について

「宅配ボックス」を物件の必須条件

では、どれくらいの入居検討者が宅配ボックスを物件探しの条件に入れて検索しているのでしょうか。

LIFULL HOME’Sで物件探しの検索条件を「できれば/必須」で優先順位づけをして検索できる『できれば検索』という機能で、物件を探す際に「宅配ボックスあり」を「必須」と選択された割合を調査しました。すると、2023年6月以降伸びが大きく、直近では6割近くが「必須」選択をしていることがわかりました。

前述した「宅配ボックスあり」物件の割合は4割程度だったのに対し、「必須」としている人は6割近くと、需要に対して供給はまだ足りていないことがわかります。

「宅配ボックスあり」物件の家賃相場について

「宅配ボックスあり」物件の家賃相場について

宅配ボックスを備えた物件の家賃はどれくらいなのでしょうか。

以上、「宅配ボックスあり」物件の市況調査でした。宅配ボックスの需要は高く、多少家賃が高くても入居検討者は宅配ボックスを求めていることがわかります。空室対策で悩んだり、これから所有の賃貸住宅の建て替えを検討したりしているオーナー様は宅配ボックスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

出展:(株)LIFULL

調査概要
<対象エリア>1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
<対象物件>LIFULL HOME’Sに掲載された築40年以内、駅徒歩20分以内、15平米以上40平米未満の居住用賃貸物件
<対象期間>2022年10月~2023年9月
<家賃相場>月額賃料の中央値