深刻な空き家問題は解決できるのでしょうか
管理状態の悪い空き家を減らし、空き家の活用を促す「空き家対策特別措置法」(通称:空き家法)が今年6月、国会で改正されました(施行は今年12月の見通し)。
今回の改正では「管理状態の悪い空き家」を新たに『管理不全の空き家』と規定し、市区町村が指導や勧告のできる制度を新設したことが柱です。
この勧告に従わない空き家は、固定資産税が最大6倍になることがいま議論を呼んでいます。
管理不全の空き家とは
従来(改正前)の空き家法(2015年2月施行)では、窓が割れていたり倒壊の危険があるなど、放置すれば周辺に悪影響を及ぼす空き家を『特定空き家』と定義。
市区町村から除却や修繕を行うよう勧告を受けた「特定空き家」は所有者が改善をしなければ、固定資産税が最大6倍になる(3~6分の1に軽減して優遇する住宅用地特例の適用が解除される)措置がとられていました。
今回の法改正はその対象を拡大し、「〝特定空き家〟だけでなく、新たに〝管理不全の空き家〟も住宅用地特例から外す」というものです。
その管理不全の空き家とは「放置すれば特定空き家になってしまう空き家」をいいます。
今後は特定空き家になってしまう手前の状態でも、建物所有者が行政の指導に応じなければ、固定資産税が上がることになるわけです。
なぜ、このように規制が強化されたのでしょうか。
空き家の放置で起こる問題
その背景には、年々深刻化する空き家問題があります。それは、少子高齢化が進んだ現在、誰も住まなくなった空き家が急速に増えている問題です。
「遠くに住んでいる」「すでに持ち家があるから」などの理由で、親の家を相続しても入居しない人たちが少なくありません。
しかし、空き家が放置されると、次のような問題も生じやすくなります。
- 建物の倒壊や崩壊、屋根や外壁の落下、火災など
- 犯罪の誘発
- ごみの不法投棄、悪臭の発生、衛生環境の悪化
- 風景・景観の悪化など
そんな問題が起きれば、地域住民の生活が脅かされます。これを防ぐことを目的に、空き家法が改正されたのです。次回は、空き家の所有者のリスクなどについて考えてみます。
(出典:国土交通省資料「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」)
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